乾貴士(J2清水)36歳が語るプレースタイルの変化「サイドは絶対できない。ドリブラーでもない。乳酸が溜まりすぎて...」
清水エスパルスMF
乾貴士インタビュー前編
セレッソ大阪との契約を解消した乾貴士が清水エスパルスに加わったのは、2022年7月のこと。1年目はJ2降格の憂き目にあい、2年目はあと一歩のところでJ1昇格を逃すなど、新天地では苦しい時間を過ごしている。
それでも長くドイツ、スペインで活躍し、ワールドカップでも結果を出すなど、数多の経験を積み重ねてきた稀代のアタッカーは、衰え知らずのテクニックを武器に、今季も力強くチームを牽引。J1復帰を最大のターゲットとし、J2の舞台で存在感を放っている。
前半戦を首位で折り返したエスパルスの命運を握るベテランは、どのような想いでピッチに立っているのか。36歳を迎えた日本屈指のテクニシャンが、偽らざる胸の内を明かしてくれた。
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乾貴士が年齢による変化を正直に語ってくれた photo by Fujita Masatoこの記事に関連する写真を見る── 2022年の夏に清水エスパルスに加入して今季で3シーズン目となりますが、過去2シーズンは悔しい出来事が続いています。特に昨季はあと一歩のところでJ1昇格を逃す悲劇を味わいました(J1昇格プレーオフ決勝で終了間際に追いつかれ、東京ヴェルディと引き分けた。規定上、シーズン順位が上の東京VがJ1に昇格)。
「もう、あの試合は思い返したくないですね(苦笑)。ほとんど決まりかけていたのに、最後の最後で追いつかれてしまって......。ああいう経験は初めてだったので、すごく悔しかったし、たぶん一生、心に残っていくものなんだなと思いますね」
── あえて思い返すと、何が足りなかったと感じていますか。
「何が足りなかったかと言えば、もうすべてが足りなかったということです。でも今年もそうですけど、やっぱりひとつひとつのプレーにこだわっていかないといけないのは、あらためて感じますね。イージーなミスが多かったりするので。
それは去年から同じで、ちょっとしたミスで失点したり、ちょっとしたミスでシュートチャンスを逃したりしている。結局、そういうところの積み重ねだと思うんですよ。去年もそうだし、今年もそう。ちょっとしたところの差で、勝ち点を落としてしまう試合がけっこうある。
この前、天皇杯で京都とやりましたけど(1-3で敗戦)、J1のチームとやると、よりそれが浮き彫りになるんですよ。ディテールにこだわることは秋葉(忠宏)監督も求めているところ。そこはやっぱり、自分たちから変えていかなければいけないと感じています」
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著者プロフィール
原山裕平 (はらやま・ゆうへい)
スポーツライター。1976年生まれ、静岡県出身。2002年から『週刊サッカーダイジェスト』編集部に所属し、セレッソ大阪、浦和レッズ、サンフレッチェ広島、日本代表などを担当。2015年よりフリーランスに転身。