Jリーガーの海外移籍が止まらない 代表クラスから青田買いまで「真夏の大移動」を整理してみた (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【主軸が抜ければ新たなタレントが台頭する】

 さらに若い世代からも、欧州移籍を勝ち取った選手が現われた。J2のロアッソ熊本の道脇豊(18歳)だ。

 186cmの長身ストライカーは、すでにチームを離脱し、海外移籍を前提とした手続きと準備を進めている。行き先はベルギー2部ベフェレンが濃厚と言われているが、今年1月に当時18歳でジュビロ磐田からアンデルレヒト(ベルギー)に移籍した後藤啓介と同様に、ポテンシャルを買われての移籍だろう。

 ちなみに、Jクラブ所属選手ではないものの、6月19日に日章学園高の高岡伶颯(れんと/17歳)がサウサンプトンへ加入することが内定した。来年3月に正式契約を結ぶというが、いわば青田買いとも言える若手の獲得は、今後さらに拍車がかかるかもしれない。

 Jクラブにとっては、シーズン途中に主力級を引き抜かれるダメージは小さくない。昨年はエースの小川航基(現NEC/オランダ)が移籍した横浜FCが降格の憂き目にあい、金子拓郎(前ディナモ・ザブレブ/クロアチア→現コルトレイク/ベルギー)が抜けた北海道コンサドーレ札幌は、以降は得点力不足に悩まされた。

 一方で、町野修斗(現ホルシュタイン・キール/ドイツ)が移籍した湘南ベルマーレは大橋祐紀(現サンフレッチェ広島)のブレイクを導き、伊藤涼太郎(現シント・トロイデン/ベルギー)が流出したアルビレックス新潟は三戸舜介(現スパルタ・ロッテルダム/オランダ)の成長を促した。

 主軸が抜ければ、新たなタレントが台頭する。海外移籍が特別なものではなくなった以上、クラブに求められるのは、流出を見越したリスクマネジメントと、スムーズな新陳代謝だ。

 たとえば川村に加え、野津田岳人(30歳)もタイのクラブ(BGパトゥム・ユナイテッド)に移籍した広島は、ボランチの人材が不足するなかで元Jリーガーを父に持つ18歳の中島洋太朗が出場機会を増やし、ブレイクの予感を漂わせている。毎熊の抜けたC大阪の右サイドバックには、前任者と同じ桃山学院大出身のルーキー奥田勇斗が台頭している。

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