「冷静じゃなかったかもしれない」昨季J1昇格を逃した清水エスパルス・秋葉忠宏監督が明かす今季の戦略とは (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

――その2試合もそうですが、今季はアウェーで振るわない印象があります。これは、どういうところに原因があると思いますか。

「うーん、改善すべきところが戦い方なのか、メンバー選考の在り方なのか、アウェーでの過ごし方なのか、食事を摂る時間なのか、散歩のやり方なのか......いろいろ考えています。

 ただ、アウェー12試合(第21節終了時点。以下同)でもう6敗もしているので、同じことを繰り返すわけにはいかないですし、何か変化を与えてトライしていかないといけない。これとこれをやったら効果が出るかなというのはあるので、まずはやって反応を見てみたいですね」

――逆にホームでは9試合で8勝1分と強さを見せています。

「アイスタは、サポーターやファミリーが作ってくれる雰囲気が最高なんですよ(笑)。発揮できる力が2倍にも3倍にもなるので、本当に感謝しかないですね。

 試合数の2倍が優勝ペースの勝ち点だと考えているので、現在21試合で勝ち点43は、いいペースできている感じです。ただ、勝ち点は取りすぎるということはないので、できるだけ取って終盤に余裕を持って戦えるようになりたいですね。余裕が出てくれば、来年を見越して若い選手の起用も試してみたい。

 この先も甘くないし、苦しい時があると思いますが、うまく軌道修正して、乗りきってチャンピオンになったという成功体験を持って昇格したい。来シーズン、優勝を争うような展開になった時、『あの時の経験が活きるぞ』と選手に言えるし、自信を持って戦えると思うんです」

――シーズン前、秋葉監督は昇格に200%の自信があると宣言しました。シーズン後は、それを証明することになりますね。

「エスパルスは伝統があり、予算規模や、サポーター、ファミリーの数から、何から何までJ1にいないといけないクラブですし、そこでトップを争うようなクラブじゃないといけない。町田が今季J1に上がって首位争いをしていますけど、守備だけではなく、攻撃も全体を動かしながらゴールを奪っているので本当に素晴らしいですし、強い。僕らもJ2で優勝して、来年はという気持ちがあります。

 ただ、その前にこのリーグ戦をしっかり戦っていかないといけない。今は21試合で25失点と、失点がちょっと多いと思うので、その修正にしっかり取り組むこと。そして、もう連敗をしないこと。最後のホームで開幕前に言ったことを結果で証明し、サポーター、ファミリーのみなさんに喜んでいただきたいですし、僕はうまい酒を飲みたいと思っています」

■Profile
秋葉忠宏(あきばただひろ)
1975年10月13日生まれ。市立船橋高卒業後、1994年にジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド千葉)入り。1995年、U-20日本代表としてFIFAワールドユース選手権(現U-20W杯)に出場。翌1996年には28年ぶりにアジア予選を突破し、アトランタ五輪にも出場した。1997年、アビスパ福岡に移籍。その後、国内クラブを渡り歩き、監督兼選手としてプレーしたSC相模原で2010年に現役を引退した。翌2011年から水戸ホーリーホックのヘッドコーチを務めたあと、ザスパクサツ群馬の監督、U-21日本代表コーチなどを歴任し、2023年に清水エスパルスのコーチに就任。同年4月から監督として指揮を執る。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る