町田ゼルビアはなぜ強いのか? 昌子源曰く「(鹿島同様)負けに対するアレルギーがすごい」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun

 実際、町田には有望な若手がズラリ。先のU23アジアカップの優勝メンバーであるMF平河悠、FW藤尾翔太をはじめ、最近売り出し中のFW荒木駿太や、将来性あるDF望月ヘンリー海輝ら、近いうちに日本代表に名を連ねるかもしれない逸材がそろっている。そうしたこともあって、昌子は鹿島やガンバでプレーしていたときとはまた違う、やりがいも感じているという。

「町田はこれからのチーム。その一員として、鹿島やガンバに追いついていきたいので、すごくやりがいを感じています。

 鹿島は20冠もしているバケモノみたいなチームで、僕はそういうチームの空気感に触れさせてもらい、ミツさん(小笠原満男)やその年代の人たちとサッカーをやらせてもらって結果を出してきた。そうやって常に勝ってきたからこそ、負けに対するアレルギーがすごかった。

 町田も、監督やコーチが負けに対するアレルギーがすごく強いんですよ。負けることが嫌いですし、ひとつ勝っても満足しない。町田も強い時代の鹿島やガンバのように、基本的に勝てるチームになって、チームとして『勝つのが当たり前』と言えるところまでいくのが理想です」

 現状、その理想に着実に近づいているように見える。町田はリアルに"強いチーム""勝てるチーム"になりつつある。現に13節を終えて、一度も連敗はない。

 昨季、リーグ優勝を遂げた神戸の選手たちは「連敗しないのが、優勝の絶対条件」と口をそろえていたが、町田もこのまま連敗せずに勝ち点を稼いでいけば、さらなる高みが見えてくるはずだ。

「38節すべて終わった時点でどの順位にいるかわからないですし、今年優勝争いをして、来年もまた優勝争いができるほど甘いリーグではないと思うんですけど、僕は何年も続けて優勝争いができるようになりたい。

 そのためには、1試合1試合が勝負だと思うので、(これまでどおり)あまり先を見ずに目の前の試合に集中して戦っていきたい。そして、そういうチームにしたいと思っています」

「目の前の試合に集中する」とは、黒田監督もよく言っていることだ。指揮官とキャプテンの考え方、方向性にはズレがなく、ほかの選手も同じ方向を見ている。それに加えて、"常勝軍団"の魂を知る昌子が、そのスピリットを町田にも植えつけることができれば、Jリーグの歴史で3例目となる快挙達成の現実味も増すかもしれない。

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