「ミシャサッカー」は死なず 北海道コンサドーレ札幌は最下位からの巻き返しに自信あり (3ページ目)

  • 志田尚人●取材・文 text by Shida Naohito

【ミシャサッカーは選手たちにとっても面白い】

 そもそも「ミシャサッカー」とはいったい何か。最大の特徴は攻守によって、システムを変えながらゲームを積極的に動かす点にあるだろう。

 注目すべきは攻撃時の布陣。3バックの両サイドがサイドに開いてポジションを取り、ボランチのひとりが最終ラインの中央に下がってビルドアップを司る。左右のウイングバックは、前線に上がってFWのようにウイングの役割を担う。

 さらに1ボランチ、2シャドーの配置には、中盤の攻防において相手を混乱に陥れるような狙いがいくつも隠されおり、局面的な数的優位を保ちながら試合の主導権を握り続ける。事実、この戦術によってサンフレッチェ、レッズはJリーグでそれぞれ一時代を築き上げた。革命的な戦術だったといえるだろう。

 そんな「ミシャサッカー」との出会いは、コンサドーレのクラブの歴史を大きく変えたと言っても過言ではない。現実主義から、理想主義へと大きく方針変更。継続的に攻撃的なサッカーができるチームを目指し「ミシャサッカー」に未来を託したのが2018年だったのだ。

 そこから6シーズンに渡ってJ1にとどまり、その間、ルヴァンカップ準優勝を掴み取った。そういった結果と同時に、「ミシャサッカー」は選手やサポーターのマインドに、何かを植えつけている。

「ミシャサッカーは攻撃的で、得点もよく入るし、見ていて面白いという話を聞きますが、実はプレーする選手たちにとっても面白いんですよね。ボールを動かすなか、選手同士のプレーのイメージが合致した瞬間、相手が混乱しているのがわかりますし、そんな時、相手の守備網をきれいに剥がしたりできるんです。

 あと面白いのは、局面を想定した練習が試合に登場すること。たとえば試合前日など、ミシャの指示でいくつかダイレクトパスを入れて裏のスペースを狙った練習をやると、それと同じようなシーンが実際の試合中で起こったりするんです。ああ、これ練習したよって」(荒野)

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