ヴィッセル神戸は敗れても「問題なし」 選手たちが選んだプレーモデルにこだわる (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

 もし早い時間で同点に追いついていたら、その勢いを駆って逆転まで持ち込めたのではないか。神戸は不調だったわけでも、スタイルで限界を露呈したわけでもない。これぞ神戸、という戦い方をして、勝ったか、負けたか、の差しかないだろう。

 昨シーズン、神戸は大迫など有力選手のパワーを生かす戦いを選択し、アンドレス・イニエスタを中心に押し進めていた「バルサ化」と完全に決別した。ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督時代、現在の主力選手たちが率先して選び取ったプレーモデルである。今さら、"もう少しうしろからパスをつなげて"という後戻りはできない。何より、彼らはそうやって勝ち点を積み重ね、Jリーグ王者になったのだ。

 ただし、相手は手ぐすねを引いて待っている。次戦は3月9日、神戸は敵地でFC東京と戦う。

 

プロフィール

  • 小宮良之

    小宮良之 (こみやよしゆき)

    スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。

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