ガンバ大阪・半田陸「チーム内で選手ごとの温度差」を感じた昨季 その経験を糧に「誰ひとりとしてサボることを許しちゃいけない」 (3ページ目)

  • 高村美砂●取材・文 text by Takamura Misa

 そのなかで、特に前半はチーム全体として連動して動けていたし、ボールを奪われたあとの切り替えのところも、(坂本)一彩や(山田)康太くんら前線の選手がしっかりファーストディフェンスにいってくれていた分、後ろの僕らも狙いを持ってボールを取りにいけるシーンも多かった。そこは去年からだいぶ変化した部分だと思っています。

 また、何より去年はなかなか先制された展開から試合をひっくり返せなかったなかで、広島戦はリードされた展開から、最後は途中出場の(倉田)秋くんが点を取ってくれて逆転勝ちに持ち込めた。これは、プレシーズンの時期とはいえ、すごく自信になったし、ここから開幕に向かって、まだまだみんなでよくしていけると思っています」

 今シーズン、クラブは昨年残留争いに巻き込まれた現実を踏まえ、J1リーグでの「7位以上」に目標を設定。それに対し、半田自身はそこも頭に置きながら、まずは「誰ひとりとしてサボらないチームにならなければ、長いシーズンは戦い抜けない」と決意をのぞかせる。

「チームとしてやろうとしていることに対して、誰かひとりでもサボればそこが歪みになっていく。だからこそ、ふだんのポゼッション練習から誰ひとりとしてサボることを許しちゃいけないし、そういった事象が見られたら、そのつど、チームみんなで厳しく声を掛けあって、修正していけるチームにならなくちゃいけない。

 そんな空気を、選手、コーチングスタッフの全員で、年齢、在籍年数に関係なく作れるようになれば、きっとチームはいい方向に進んでいけるはずだし、仮に苦しい状況に置かれたとしても、ズルズルと負の流れに巻き込まれることなく、自分たちを見失わずに戦っていけるんじゃないか、とも思っています。

 また、クラブとしてのJ1リーグ7位以内という目標は意識しながらも、やっぱり僕はこのチームでタイトルを獲りたい。そのために僕自身も目の前の1試合、毎日の練習で『やりきる』ことを自分に求めていきたいです」

「去年よりいい半田陸を見せる」ためにも、だ。

「正直、今は日本代表のことも含めて、先のことはまったく考えていません。将来のことを考えすぎて、目の前のことや、日々の練習、試合を疎かにしてしまったら、結局は何もつかめないということを10代の頃に経験しているので。だからこそ、とにかく今、自分ができることだけに集中して、それを100%でやりきることしか頭にないし、この先もその繰り返しだと思っています」

 山形のアカデミーで育てられ、プロになった半田は昨年、自身のサッカーキャリアで初めてその山形を離れ、"生え抜き"として自身がいかにクラブに守られ、大切に育てられてきたのかを再確認したという。と同時に、そうした温かな環境を離れたからこそ、見えたこと、気づけたこともたくさんあった、と。

「加入直後はいろんな難しさも感じたけど、ガンバに来たから出会えた人もいたし、新しい環境で自分をイチから表現していくという経験を味わうこともできた」

 だからこそ、今シーズンも一歩ずつ。大事に"今"を積み重ねることで未来を切り拓く。

半田陸(はんだ・りく)
2002年1月1日生まれ。山形県出身。ガンバ大阪所属のDF。モンテディオ山形ジュニアユース→ユースを経て2019年にトップチームに昇格。プロ3年目の2021シーズンにはレギュラーの座を確保した。2023年、ガンバ大阪に移籍。同年3月には日本代表に初選出された。U-15から各年代の代表に選出され、今年はパリ五輪出場へ五輪代表での奮闘が期待される。

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