サッカー天皇杯「下剋上の歴史」を紐解く 国立でカップを掲げるのはレイソルorフロンターレどっち? (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei

【リーグ戦8位の川崎vs残留争いに苦しんだ柏】

 パク・チソンを擁した2002年の京都サンガは、黄金時代を築いていた鹿島を2-1で下し、初優勝を成し遂げた。2004年の東京ヴェルディは、連覇を狙ったジュビロ磐田に2-1で競り勝ち、名門復活を印象づけている。もっともこの年の磐田は1stステージこそ2位だったが、2ndステージでは13位と低迷。黄金時代の終焉を迎えつつあった。

 2013年の横浜F・マリノスは、その年のリーグ戦を制した広島を2-0で下し、Jリーグ発足後では初優勝を達成。リーグ戦では首位に立ちながら終盤に失速し、最終節で逆転された相手にリベンジを果たしている。

 2019年に鹿島を下して初優勝を成し遂げたヴィッセル神戸は、アンドレス・イニエスタ、ルーカス・ポドルスキ、ダビド・ビジャらビッグネームを擁し、リーグ戦を3連勝で締めくくっていた。

 もっとも、いずれの試合もリーグ戦の順位が下のチームが勝ったとはいえサプライズとは言いがたく、予想を超える結末ではなかった。

 天皇杯の決勝はシーズンの最後に行なわれる試合であるため、リーグ終盤の流れがそのまま反映されやすいと言えるだろう(昨年大会はリーグ戦終了前の10月開催だった)。2001年のセレッソ大阪、2007年の広島、2021年の大分トリニータと、降格が決まったチームが決勝まで駒を進めることはあったし、2014年にはモンテディオ山形がJ2チームとしてファイナルの舞台に臨んだものの、タイトルに手が届くことはなかった。

 今回はリーグ戦8位の川崎フロンターレと、最後まで残留争いに苦しんだ17位の柏レイソルのカードとなる。

 天皇杯の歴史を踏まえれば川崎が優位と見られる。現在のチーム状況を考えても、川崎は5戦負けなしでシーズンを終えたのに対し、柏は4連続ドローで5試合勝利から遠ざかっている。今季のリーグ戦の対戦では川崎の1勝1分という結果だった。

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