ジェフ千葉、15年ぶりJ1復帰なるか キーマンは高校選手権で名を馳せた右SB (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 髙橋は、自分が右サイドバックを務めることの価値を「ボールを持てるところだと思っています。低い位置から配球できるところ。あとは、アップダウンができるところだと思っています」。

 もちろん、いかに髙橋が優れたMFだったといえども、右サイドバックに関しては初心者である。初めて任されるポジションには難しさも感じていた。

「毎試合、毎試合、いろんな課題がありながら、坂本(將貴)コーチだったり、いろんな方に指導していただきながら、着実に、着実にやっている。それは今も変わりません」

 だが、その苦労も試合に出られてこそ。「新しいポジションですけど、毎試合課題を見つけて修正しながらやれるのが、"すごく"楽しいです」。

 穏やかな口調で話すなか、あえて「すごく」に力を込めるあたりに、髙橋の充実感が伝わってくる。

 今季の千葉がそうであるように、現代サッカーにおいてしっかりとボールを保持して攻撃を組み立てようとする時、カギを握るのはサイドバックであると言っても大げさではない。サイドバックに中盤的資質が求められる。そう言い換えてもいいだろう。

 だとすれば、もともとは中盤で卓越した攻撃センスを発揮していた髙橋の起用は、意外な印象を受ける一方で、実は適材適所。

 髙橋自身、「今とは違う戦術だったらどうかとか、他のチームに行ったらどうかとかはあると思うので、そこは僕の成長が必要だと思う」と前置きしたうえで、「今のチームのやり方はしっかり理解できていると思うので、そこではうまくハマっていると言ってもいいんじゃないかなと思います」と手応えを口にする。

 今季、"右サイドバック髙橋壱晟"という新たな武器を手に入れた千葉は、15年ぶりのJ1復帰をかけてプレーオフに挑む。

 今季のプレーオフには、奇しくも"Jリーグオリジナル10"のうち3クラブ、千葉、東京ヴェルディ、清水エスパルスが顔をそろえた。古豪がラスト1枠を争うサバイバルレースとしても注目度が高い。

 なかでも、最もJ2生活が長くなったのが千葉である。

 千葉が最後にJ1を戦ったのは、2009年シーズン。髙橋が高卒で新加入する8年も前の話だ。

 試合に出続けられる充実感を、外連味なく「最高です」と言い表わす髙橋。今年25歳となったかつての選手権のスターは、久しぶりのJ1復帰へ起爆剤となれるだろうか。

 いよいよ始まるプレーオフの注目ポイントである。

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