J1自動昇格残り1枠を手にするのはどこだ? ジュビロとヴェルディは死闘によって得た「吉報」を生かせるか (2ページ目)
結局、試合はともに追加点を奪うことができずに1-1の引き分け。自動昇格圏につける2位の清水エスパルスを捕まえたい両チームにとっては、痛恨の勝ち点1だったに違いない。
しかし、試合内容に目をやれば、互いに死力を振り絞った熱闘は非常に見応えがあるものだった。勝ちきれなかったことを悔しがった両指揮官が、一方で対戦相手を称え、充実感を漂わせていたことがその事実を裏づける。
「相手も気持ちの入ったチームだったし、非常に拮抗した試合だった」(磐田・横内昭展監督)
「ジュビロの力を考えたら、我々の持てる力はすべて出して非常にいい試合ができたと思う。選手がすべて出しきったことには胸を張りたい」(東京V・城福浩監督)
概ね優勢だったのは磐田のほうだろう。ボクシングのような判定決着があるなら、僅差で磐田の勝利だったかもしれない。
だが、東京Vにしても決して怯むことなく、前に出る姿勢を失わなかった。単純なパンチの手数では劣っていても、一発で相手を仕留める可能性のあるパンチを何度か放っている。
「試合展開はキツかったが、お互い点を取らなければいけない状況だったので、そういう展開になるのはしょうがない。両チームの意地が表れた試合展開だったかなと思う」(東京V・DF谷口栄斗)
結果は、不本意な勝ち点1。しかし、それが持てる力を出しきったがゆえの結果であるからこそ、待っていたのは思わぬ吉報だった。
前を走る清水が、18位のロアッソ熊本に1-3で敗れたのである。
もし清水がこの試合に勝っていれば、引き分けた磐田と東京Vとの勝ち点差は2から4に開いていた。残り2試合という状況を考えれば、逆転自動昇格はあまりに厳しく、まさに共倒れとなっていたはずだ。
ところが、清水の思わぬ逆転負けで、2位との勝ち点差は1に縮まり、磐田と東京Vはともに自動昇格争いに踏みとどまった。まさに、「この勝ち点1を残り2試合にどうつなげていくかは我々次第」(横内監督)である。
この結果、J1自動昇格争いは勝ち点1差に3クラブがひしめいた状態で、いよいよクライマックスに突入する。当事者はともかく、見る側にとっては非常に面白くなってきたことは間違いない。
3クラブのなかで、自力での自動昇格を果たせるのは清水のみ。とはいえ、背中に磐田と東京Vがピタリと貼りついて追走している現状は、優位に立つ清水にとって決して心地いいものではないはずだ。
決着が最終節までもつれる可能性は極めて高い。
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