日本代表10番を背負った中島翔哉は浦和の重要なピースとなるか?「時間はかからない」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 結局、日本代表での試合出場は、2019年11月のベネズエラ戦が現時点での最後。その後も、アル・アイン(UAE)、ポルティモネンセ、アンタルヤスポル(トルコ)と渡り歩くも、かつてのような強いインパクトは残せなかった。

 しかも、昨季所属していたアンタルヤスポルが財政問題を抱えていたこともあり、シーズン終了をもって双方合意のうえで契約は解除。

 先行き不透明な状況が心配されていたところ、今夏、サプライズとも言うべき形で実現したのが浦和への移籍、すなわち6年ぶりのJリーグ復帰だったのである。

「(トルコでのシーズンが終わって)2、3週間休んで、少しずつ動いた感じ。(横浜FM戦は)ぶっつけ本番みたいな感じだった」

 J復帰戦後、自身がそう話していたように、6月のトルコリーグ最終節に出場して以来の実戦となった中島にとって、今の時期は本来ならプレシーズンにあたるタイミングである。

 浦和加入後の練習でも「最初はずっと別メニューだった」と言い、全体練習に合流したのは、「(横浜FM戦の4日前に行なわれた)天皇杯のあとの練習から。連戦だったので、大した練習はしていない」。

 彼本来の力を出すには、まだコンディションが整っていない、というのが現状だ。

 この日の横浜FM戦でも、中島投入後の時間帯は相手に押し込まれる展開が続いたこともあり、ボールに触れるプレー機会はごくわずか。左サイドからのカットインでシュートに持ち込む、得意の形を見せることはできなかった。

 唯一の見せ場と言ってもいい、右サイドのペナルティーエリア脇から左足で強引に放ったシュートも、あえなく相手選手にブロックされ、公式記録上はシュート数にカウントされていない。

 それでも、マチェイ・スコルジャ監督が中島をピッチに立たせたのは、彼にかける大きな期待の表れなのだろう。

「翔哉ができるだけ早く馴染むように環境を整えてあげたい」とは、今後の優勝争いを視野に入れるポーランド人指揮官の弁だ。

 中島自身もまた、「このチームで(試合を)やるのは初めてだったので、こうやって公式戦に出て、感じをつかめたのはすごくよかった」と言い、こう続ける。

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