ガンバ大阪が最下位から急浮上も危機的状況を脱したと言えるのか (2ページ目)
昨季はJ2降格すら目の前にちらつく下位低迷が続き、片野坂監督を解任。最悪の事態こそ免れたものの、今季新たにポヤトス監督が就任してもなお、(少なくとも第14節までは)大きく事態が好転することはなかった。
だからこそ、ポゼッションスタイルを志向するスペイン人指揮官も、従来の発想にメスを入れる必要があったのだろう。ボールを握ってゲームを進めることに固執せず、相手守備の背後をシンプルに狙う。そうしたリスク回避重視の攻撃を増やすことで、事態の改善を図った。
結果的に、これが功を奏した。
そもそもG大阪は、歴史的に見ても、例えば2014年シーズンの三冠達成時がそうであったように、前線に能力の高い点取り屋を配し、手数をかけることなく一気に攻めきることができた時、強さを発揮するチームだ。それを考えれば、この4連勝は原点回帰の賜物と言えるのかもしれない。
ひとまず、G大阪は危機的状況を脱した......ように見えた。
だが、言い方を変えれば、それは急場しのぎの策を施したにすぎない。
本来G大阪が目指していたのは、もっとボールを保持して相手を押し込み、ボールを失ったとしてもすぐに奪い返す。そうやって敵陣で攻守を繰り返すサッカーだったはずだ。
実際4連勝中にも、そうした展開を作れる時間帯がなかったわけではない。左サイドバックのDF黒川圭介が決めた2ゴール(第15節の新潟戦、第18節の鹿島アントラーズ戦)などは、目指していたスタイルが形になったものだと言っていいだろう。
だとすれば、その時間をもっと長くしたい。指揮官はもちろん、ピッチ上の選手たちが、そんな気持ちを抱えていたとしても不思議はない。
ようやく結果がついてくるようになり、順位も上昇。確かに、大きく"現実"へと傾いていた針を"理想"の側へと引き戻すチャンスを迎えていたのかもしれない。
しかし、それは決して簡単な作業ではないと思い知らされたのが、横浜FC戦だったのではないだろうか。
ポヤトス監督が試合後の会見で、「正確性が足りなかった」という言葉を何度か繰り返していたように、この試合のG大阪はパスミスが多かった。
なかでも目立っていたのは、意図のズレ。キックやトラップなどの技術的なミスというより、出し手と受け手の狙いがズレることで起きるパスミスだった。
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