熱戦 J2!「昇格の必須要素」と「熾烈な残留争いのポイント」を読み解く

  • 戸塚 啓●取材・文 text by Totsuka Kei
  • photo by Getty Images

 日本代表が週末をまたいでエルサルバドル戦とペルー戦を行なっていた同時期、J2リーグは第21節を終えてシーズン前半戦を折り返した。

 2024シーズンから各カテゴリーが20クラブに統一されるため、現在22チームで戦うJ2からは上位3チームが来季J1に昇格する。

 例年以上に競争が激化している2023シーズンの前半戦を振り返ると同時に、後半戦の見どころを紹介する。

前半戦で11得点を奪っている藤枝MYFCの渡邉りょう前半戦で11得点を奪っている藤枝MYFCの渡邉りょうこの記事に関連する写真を見る

【町田の勝因は先行逃げ切り】

 いくつかの驚きに包まれた前半戦だった。

 J2リーグは6月第4週から、後半戦に突入する。全42試合の半分にあたる21試合を消化して、首位で折り返したのはFC町田ゼルビアだ。

 青森山田高校を全国屈指の強豪へ押し上げた黒田剛監督の就任により、今シーズンの町田はプレシーズンから注目を集めていた。

 どちらかと言えば、話題先行のところがあった。だが、開幕から7試合連続負けなし(6勝1分)の好スタートを切ると、清水エスパルス、大分トリニータらのJ1昇格候補のライバルを撃破していき、前半戦を14勝4分3敗の勝ち点46で折り返したのだった。

 好調の要因は、強固な守備だ。21試合で失点はわずか「12」である。前シーズンは50失点を喫したから、大幅な改善が図られている。

 彼らの特徴は失点時間に表れており、「前半開始から15分まで」と「後半開始から60分まで」の失点がない。その一方で、「前半開始から15分まで」に、リーグ2位の6得点を記録している。試合の入りで相手を勢いづかせることなく、先行逃げ切りのパターンへ持ち込むことができているのだ。

 守備力の向上については、補強が実を結んでいる。J2の他クラブでCBのポジションを掴んでいたチャン・ミンギュ(←ジェフユナイテッド千葉)、池田樹雷人(←ブラウブリッツ秋田)、カルロス・グティエレス(←栃木SC)らを引き抜き、セントラルMFの人材も厚くした。

 外国人アタッカーの献身性も見逃せない。ファジアーノ岡山から加入したオーストラリア代表FWミッチェル・デューク、2019年に横浜F・マリノスのJ1制覇に貢献したブラジル人FWエリキが、最前線から守備のスイッチを入れている。エリキはランキング2位タイの10ゴールを挙げており、得点源としてもチームを牽引する。

 後半戦の町田は「追われる立場」となるが、CKやロングスローも得点パターンとしており、相手のゴールをこじ開ける力強さを持つ。主力の戦線離脱といったアクシデントを避けることができれば、このまま勝ち点を積み上げていきそうだ。

1 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る