小林祐希がコンサドーレへの移籍を決断したわけ「今は正直不安でいっぱい」「監督の言うとおりに動けばいい、という空気は変えたい」 (4ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 小林は、まだ30歳。日本代表入りを諦める年齢ではない。今は選手寿命が延びているので、故障せず、いいパフォーマンスを発揮できていれば、まだまだ第一線で活躍できる。小林自身もタイトル獲得とともに、日本代表復帰を今年のテーマに掲げている。

 それでも、30歳はひとつの節目になり、引き際など考え始める頃でもある。

「自分がやめる時は......今のところ体が動けないと感じることがないので、それを感じ始めてくると、『そろそろなのかなぁ』と思います。ただ、それも精神的なところに関わってくるのかなぁって思います。

 若くても、悩みながらプレーしたり、これをやったら怒られるとか、自信なさ気にプレーしたりすると、動きが鈍くなるし、判断も遅くなり、『あいつ、動けないな』って思われるんです。でも、年齢が上がっても判断が早く、楽しくサッカーできると、めちゃくちゃ動けるんです。

 だから、頭のなかを整理してプレーすることがすごく大事なんですけど、今は正直不安でいっぱいです。どこに楽しみを見出すのかというのは自分次第なので、それを考えつつ、また新しい自分を探していきたいですね」

 小林と札幌のサッカーは今のところ、まだ噛み合ってはいない。だが、お互いに合わせるかどうかよりも、注目すべき点は小林の個性を生かせるかどうかだろう。

 ベテランの域に入った選手を他の選手と同じ型に当てはめるのではなく、小林の個性を生かす戦いができれば、攻撃の幅が広がり、流れが何も変わらないまま試合を終えてしまうこともなくなるはずだ。そして小林は、そのなかで変化を容認させるだけの結果を出していくだろう。

 札幌のスタイルと小林の個性――双方が合致すれば、4年間続いた中位からの脱却はもちろん、小林が求め続けた優勝を争う展開も見えてくるのではないだろうか。

(おわり)

小林祐希(こばやし・ゆうき)
1992年4月24日生まれ。東京都出身。東京ヴェルディの下部組織出身のMF。2011年にトップチームに昇格。2012年にはキャプテンを任されるも、同年夏にはジュビロ磐田に移籍した。その後、2016年夏に海外へ。オランダ、ベルギー、カタール、韓国のチームでプレーし、2022年にヴィッセル神戸入り。そして今季、北海道コンサドーレ札幌に完全移籍した。

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