小林祐希がコンサドーレへの移籍を決断したわけ「今は正直不安でいっぱい」「監督の言うとおりに動けばいい、という空気は変えたい」 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・構成 text by Sato Shun
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

「チームが勝っている時は、何かを変える必要はないと思うんです。ただし、うまくいかなくなった時、それを続けていても勝てないじゃないですか。そこで、本来であれば、何かしら変えていくことが大事かなと思うんです。

 でも(チーム内には)『監督の言うとおりに動いていればいい』という空気が流れている感じがするので、僕はそこを少しでも変えていきたいと思っている」

 札幌の選手は、与えられたタスクを果たすべく黙々とプレーしている。小林は、選手同士の要求や叱咤激励がほんどないことを不思議に感じていたという。

「たぶん、高卒や大卒とか、まっさらな状態でプロ入りした選手であれば、監督に言われたことをするというのは難しくないと思うんです。でも、自分はプロで10年以上やってきて、染みついた癖というか、こういう時はこうしたほうがいいという引き出しがあるわけじゃないですか。それが自分の特徴でもあるわけで、それでサッカーをやってきた。

 でも(今は)そこじゃなくて、まずは札幌のスタイルに沿ったプレーを求められる。その辺りをどうすり合わせていけばいいか、ちょっと悩ましいところ。時間はかかるかもしれませんが、悩んでいても状況は変わらないので、今は何も考えずに監督の求めるものをそのまま振りきれるところまでやってみようかなと思っています」

 小林にとって、個性を生かせるという意味で、欧州はプレーしやすい場だった。仮に自分のポジションではなくとも、監督と話し合い、お互いに納得してプレーできる環境があったからだ。

「欧州では、選手が監督に要求するというか、ディスカッションがすごくあって、ダメになった時は、話をしてすぐに対応することができるんです。でも、日本や韓国はどちらかというと、監督が決めた方向に全員で進んでいく。だから団結力があって、ひとつの目標に進んでいけるんですけど、それがうまくいかなくなった時、『どうしたらいい?』『何をしたらいい?』って迷ってしまうんですよ。

 ただ、日本代表クラスになると、ピッチのなかで選手が考えて、いろいろと変えていくことができる。カタールW杯ではそれを証明するように、後半から戦い方を変えたけど、(選手たちは)何の違和感もなくプレーしていた。しかも、見ていてすごく楽しかった。自分もああいう面白いサッカーをしたいなと思いました」

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