神戸は「バルセロナ化から遠い身の丈にあったプレー」鹿島は「シンプルに得意なこと」で好調 開幕3戦のJリーグ各クラブを福田正博が分析 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

【センターフォワードとセンターバックが大事】

 新監督を迎えた浦和レッズは、未知数なところがある。そう思う最大の理由が最前線に怖さが足りないことだ。優勝争いに加わっていこうとするなら、やっぱりFWにゴールの匂いのする選手が欲しい。その点で言えば、ケガがちではあったものの、キャスパー・ユンカー(現名古屋グランパス)にはそれがあった。そこに人材を補強できれば期待感は大きくなっていくと思う。

 やはり優勝争いに加わるためには、勝ちきることが重要。それは昨シーズンの浦和を振り返れば明白だろう。昨季優勝を争った横浜FMと川崎の引き分け数は一桁だったのに対して、浦和は15試合もあった。

 残留争いをするチームなら勝ち点1を15個も手にしたと捉えて問題はないが、優勝を狙うには勝ちきれずに逃した勝ち点が15試合で30ポイントもあったと受け止めなければいけない。そして、勝ちきるには勝負を直接分けるポジションの、センターフォワードとセンターバックが必然的に大事になってくるのだ。

 その点で言えば、名古屋は理に適った補強をしたと見ている。昨季の総失点35は優勝した横浜FMと同じ少なさだったが、得点数はわずか30点。リーグ最少得点だったアビスパ福岡に次ぐものだった。そんな得点力に課題があったのが明白なチームが、ユンカーを獲得した。今季の3試合を見る限り、内容はまだ伴っていないものの、開幕戦をユンカーのゴールで1-0と勝ちきり、2節の京都サンガF.C.戦も永井謙佑の得点で1-0と勝利している。これを続けていくうちに得点力が上向く可能性は大きい。

 昇格組のアルビレックス新潟と横浜FCは、スタートで明暗が生まれた。新潟は6得点5失点ながら1勝2分で7位。横浜FCは3得点6失点の1分2敗で最下位。開幕直後の順位は1試合の結果で大きく入れ替わるが、それでも昇格組にとってスタートダッシュはほかのどのクラブよりも大事なものだけに、ここから数試合の結果には注目していきたい。

 新潟はJ2で継続してきたことを、J1でもしっかり発揮できていると感じる。ただ、そこには対戦相手のクオリティの差があるため、J2なら勝ちきれたり、ゴールにつながったプレーが、J1では通じていない部分もあるだろう。そこを長いシーズンのなかで、どう埋めていくのか。シーズンが進むほど選手たちに疲労は溜まり、思うようなサッカーが繰り広げられないこともあるだけに、春先に少しでも勝ち点は稼いでおきたいところだ。

 同じことは横浜FCにも言えるが、横浜FCの最前線は、昨季J2得点王になった小川航基が構えているのはポジティブ要素だ。アンダー年代の日本代表では期待されたストライカーが、故障などによる苦労を経てJ1に戻ってきたなかで、開幕3試合で3得点。日本代表や海外移籍も視野に入るほどのプレーを見せている。彼が調子を崩さずにいれば、巻き返しの核となる攻撃パターンとなれるはずだ。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る