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中村俊輔は「チェスの名手のよう」。GKブローダーセンが語った思い出「ボールを止めたことよりも、ネットから取り出すことのほうが多かった」 (3ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

【シュンスケさんの左足はすさまじかった】

 横浜FCでは日本が誇る左利きのテクニシャン、中村俊輔の現役晩年の1年半をともにした。ブローダーセンはこのレジェンドにも、似た性質があったと言う。

「彼もすばらしい技術を持った選手だったけど、思考も早かった。シュンスケさん(日本語で)も、チェスの名手のように、数手先までやるべきことがわかっている選手だった。だから足がそんなに速くなくても、活躍できたんだと思う。プレーの判断が見事で、他の人には見えないコースにパスを出していたからね。

 もちろん、左足のキックはすさまじかった。全体練習のあとに、よくシュート練習をしていて、僕もよくゴールマウスに立ったんだけど、ボールを止めたことよりも、ネットから取り出すことのほうが多かったよ(笑)」

 ポジティブでおおらか、インテリジェンスも感じさせるブローダーセンが、初めて最初から挑むJ1のシーズンがまもなく開幕する。
(おわり)

スベンド ブローダーセン 
Svend Brodersen/1997年3月22日生まれ。ドイツ・ハンブルク出身。横浜FC所属のGK。ザンクトパウリのアカデミーで育ち、2014年にザンクトパウリⅡに昇格。ドイツ4部で7シーズンプレーし、その間、トップチームでも6試合出場。U-20ドイツ代表として、2017年のU-20ワールドカップに出場。また2021年には東京オリンピックを戦うドイツ代表のメンバーにも選ばれている。2021年7月に横浜FCへ移籍。すぐにレギュラーを獲得し、以降チームのゴールを守り続けている。

著者プロフィール

  • 井川洋一

    井川洋一 (いがわ・よういち)

    スポーツライター、編集者、翻訳者、コーディネーター。学生時代にニューヨークで写真を学び、現地の情報誌でキャリアを歩み始める。帰国後、『サッカーダイジェスト』で記者兼編集者を務める間に英『PA Sport』通信から誘われ、香港へ転職。『UEFA.com日本語版』の編集責任者を7年間務めた。欧州や南米、アフリカなど世界中に幅広いネットワークを持ち、現在は様々なメディアに寄稿する。1978年、福岡県生まれ。

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