クライフから大きな影響を受けたダニエル・ポヤトス監督が、ガンバ大阪を「本来いるべき場所」に導く (2ページ目)

  • 高村美砂●取材・構成 text by Takamura Misa
  • photo by ⓒGAMBA OSAKA

 そのように、攻守において"待たずに"主導権を握ること、つまり優位性を有効に活用しながら自分たちから仕掛けていく姿勢を示せるチームになれば、必ずゴールの確率は上がっていくと考えています」

 そうした理想とするスタイルを「ガンバというビッグクラブが、日本の中心で輝くチームになるために確立したい」とも言葉を続けた。

「もちろんサッカーは相手ありきのスポーツで、相手の動きによって生まれるスペースは変わってきます。試合の状況においてもその都度、変化し続けます。

 そこを選手たちの個性、特性を生かしながら、どう攻略し、チームを構築して攻撃を作っていくのか。選手自身にも試合のなかで考えられるようになってほしいし、私自身も自分の哲学を押しつけるだけではなく、選手の特徴や組み合わせを柔軟に考えながら、でも戦い方の芯は決してブラさずに、チームを作っていきたいと思っています」

 ガンバは、ポヤトス監督が以前から注目していたチームのひとつだったという。そのガンバからオファーを受け、最終的にはクラブから伝えられたサッカー観と自身の理想とするそれが合致したことが、監督就任の決め手になった。

「徳島ヴォルティスでの2シーズンでは、本当にすばらしい時間を過ごさせていただきました。徳島には私が日本で仕事をするチャンスを与えていただいただけではなく、クラブに関わるすべての方たちによくしていただき、多くの幸せを与えていただきました。だからこそ、ガンバからオファーをいただいた時はすごく迷いました。

 ですがこの2年間、日本のサッカー界で仕事をしてきたなかで、ガンバは私が注目していたチームのひとつでした。その歴史に、9つのタイトルを刻んできたビッグクラブであることも知っていました。

 そのガンバのクラブの首脳陣からオファーをいただいた際には、ガンバがその歴史において多くの勝利を挙げてきた攻撃サッカーのスタイルを取り戻したいという強い信念も伺いました。それが、私が好むサッカーと合致したことにも魅力を感じ、新たな挑戦をしたいという思いが強くなり、家族とも相談して引き受けることを決めました。

 ガンバのこれまでの歴史、プロセスに寄り添いながら、我々のスタッフ、選手とともにガンバが勝者のメンタリティを取り戻し、本来いるべき場所に戻れるように仕事を進めていきたいと思っています」

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