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「彰悟さんのようにはできない」と監督に吐露。それでも川崎フロンターレ橘田健人が避けてきたキャプテンを引き受けた理由 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

【大先輩からのアドバイス】

 そして鬼木監督は、自分の経験を語って聞かせてくれた。

「自分も(コーチから昇格して)監督に就任した時は、監督が務まるかどうか不安ななかで挑戦してきた。でも、やったからこそわかったこと、見えてきたこともある。だから健人も、やる前からできない、やらないではなく、やってみてほしい。

 なにより、昨シーズンは優勝できず、何ひとつ残すことができなかった。そこから再びチャレンジャーとしてやっていく今季、キャプテンとして一緒に戦っていってほしい」

 やる前から、できないと匙(さじ)を投げるのではなく、やってみたうえで判断してほしい。また、新たな役割に挑戦することで、わかること、見えてくることがある──。

 それは、鬼木監督も語ったように、川崎フロンターレが今日まで続けてきた、培ってきたチャレンジャーとしての姿勢でもあった。

 橘田は言う。

「これだけすごい人たちがいるクラブで、自分がキャプテンを務めるなんて、想像するだけでもプレッシャーが半端ないというか......。正直、今もイメージが沸かないところはあります。でも、鬼さんの言葉を聞いて、覚悟を決めました」

 鬼木監督からは、副キャプテンには登里享平、脇坂泰斗、ジェジエウの3人にお願いすると聞いた。だから、登里には「サポートをお願いします」と伝えにいった。

 自分が副キャプテンになることを知らなかった登里は、「えっ? 何のこと?」と言って、そこで橘田がキャプテンに就任する事実や、登里が副キャプテンを務めることも"ネタバレ"する格好になった。ただし、8つ年上の大先輩は、アドバイスも忘れなかった。

「キャプテンをするからといって、彰悟みたいなキャプテンを目指す必要はないと思う。健人は健人らしく。最初は今までのように、プレーでチームを引っ張っていってほしい。ほかの部分は俺らがサポートするから、少しずつキャプテンらしくなっていけばいいと思うよ」

 脇坂も同様のことを橘田に語り、背中を押し、そして自分が勝手に乗せようとしていた重しを取り除いてくれた。

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