福田正博が振り返る2022年のJリーグ。目立った「育成型クラブの奮闘」と「全国のクラブ間の実力格差縮小」 (3ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

全国各地から結果を残すクラブが増えている

 日本代表クラスの選手たちや、その下の世代の有望株が次々と海外移籍をしているため、Jリーグのトップクラブの実力は高まっていないように見える。その一方で下位のクラブでもしっかりと力をつけているところもあり、全体的には上から下まで実力差は小さくなっている。

 それを証明したのが、天皇杯を制したJ2のヴァンフォーレ甲府(J2・18位)であり、J1参入プレーオフを戦ったロアッソ熊本だった。

 とりわけ熊本は昨季J3で優勝して、今季はJ2昇格1年目で4位と躍進。J1参入プレーオフは、最後で京都サンガF.C.と1ー1の引き分けに終わりJ1はお預けとなったが、彼らの取り組んできたサッカーが間違いではなかったということだ。来季に向けては、同じメンバーで戦えるかという課題はあるものの、彼らのサッカーがJ1で見られる日は遠くないのではないかと思う。

 また、J1から降格して来季はJ2を戦うことになったのが静岡県にホームタウンを置くジュビロ磐田と清水エスパルス。我々の世代くらいまでは、サッカーと言えば静岡県という図式だったし、それこそ日本代表の多くが静岡県出身者の時代があっただけに、現状は寂しく感じる。

 各地域でユース出身の選手たちが躍動しながら結果を残すクラブが増えているのは、Jリーグが誕生したことで全国津々浦々にサッカーが浸透し、良質な指導者が全国に散らばった成果でもある。ただ、それでも静岡勢がJ1に1チームもいないのは寂しいし、来季以降にしっかりチームをつくり直してJ1復帰へと歩んでもらいたいと思う。

 地域で言えば、2017年からの6シーズンでJ1に優勝しているのは、川崎と横浜FMという神奈川県勢しかいない。来シーズンは、神奈川県以外のクラブが優勝争いに加わってくれることを願っている。

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