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ジーコが振り返る今季の鹿島アントラーズ。「ベンチの混乱がプレーに影響を与えていた」

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

ジーコ、鹿島アントラーズを語る(後編)
前編・ジーコが吐露した鹿島アントラーズへの思い。「仕事をする最後の年になると思う」を読む>>

 今シーズンの鹿島アントラーズのことについて、少し触れておきたい。ちょっと辛口かもしれないが、私の心からの想いだ。

 今シーズン、チームはスイス人監督のレネ・ヴァイラーのもと、いいスタートをきった。彼の仕事のスタイルが私は好きであったし、ピッチでの選手の配し方も好きだった。聡明で現代的で、私はチームにぴったりの監督だと思った。

 しかし、さまざま事情により、私たちが予想したとおりにはいかなかった。おそらくレネは、チームが次々と優秀な日本人選手を売ってしまうことに、少し嫌気がさしたのではないかと思う。そのなかには、チームの得点王であり、鹿島唯一の日本代表、上田綺世も含まれていた。

 上田をヨーロッパに移籍させたことは、監督としてはショックだったろう。チームメイトやスタッフにとっても、あまりにも突然のことだったのではないだろうか。その結果、チームが自信を失い、結果を出せなくなることにつながったのかもしれない。サッカーでは迷いが生じると勝てなくなる。レネはこうした難しい状況の真っ只中に置かれ、その代償を払わされた。

Jリーグ最終節はガンバ大阪と引き分け、4位で終わった鹿島アントラーズphoto by Kyodo newsJリーグ最終節はガンバ大阪と引き分け、4位で終わった鹿島アントラーズphoto by Kyodo newsこの記事に関連する写真を見る 私は彼の去就には一切、関わっていない。2021年の12月から、鹿島アントラーズの決定に私が関わったことはない。私はチームがレネを監督にすることを知らなかったし、彼の鹿島での日々にも関わっていない。監督問題に対しては、何の相談もなかったし、助言も求められなかった。求められない限り、私は自分の意見を述べる立場にはない。
 
 南米とヨーロッパ、どちらのサッカーのスタイルが鹿島にはあっているか。これまでの歴史や結果を見れば、その答えは普通にわかるだろう。鹿島は南米、それもブラジルのスタイルで多くの成果を残してきた。その意味で、レネの監督就任はひとつの変化だった。ただし、レネに関して言えば、必ずしもヨーロッパのスタイルの指導者というわけではないと思う。出自はスイスだが、アフリカのチームを率いてきた監督だ。エジプトのアル・アハリでの仕事ぶりが認められて、彼は鹿島に招かれた。

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