2022年Jリーグのもったいない選手たち。日本代表DFから若手GKまでピッチでもっと見たかった (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

若手GK2人

 そして最後に、若手GKのなかから、ふたりの名前を挙げておきたい。

 浦和レッズのGK鈴木彩艶(2試合180分出場)と、鹿島アントラーズのGK沖悠哉(2試合180分出場)である。

 今季J1でわずか2試合しか出場していない鈴木は、それでいて8月のE-1選手権で日本代表初選出。6月のU-23アジアカップに出場したU-21代表でも正GKを務め、出色の働きを見せたことを考えれば妥当な選出だったとも言えるが、その一方で浦和では控えGKだという現実もある。

 そこでは、日本代表の森保一監督が「浦和には(西川周作と鈴木という)日本代表クラスのGKがふたりいる」という"詭弁"を弄(ろう)さざるを得なかった事実が、彼のもったいなさを際立たせる。

 20歳の鈴木は、18歳にしてトップチームに登録される異例のスピード出世を果たしたものの、以来3シーズンでリーグ戦出場は8試合のみ。20歳前後の成長期にもったいない状況が長く続いているのは気になるところである。

 一方、23歳の沖は、一昨季から昨季にかけて正GKの座をつかんでいたが、昨季終盤にポジションを失ったのをきっかけに、今季はもっぱらベンチを温める試合が続いている。

 だが、シュートセーブやゴール前での威圧感など、クォン・スンテに見劣りする点があることは否定できないとはいえ、沖の魅力は、何と言ってもGK離れした足元の技術にある。狭いエリアでパスをつなぐ練習に加わっても、フィールドプレーヤーと遜色ないボール扱いを見せるほどで、その点に関して言えば、J1のGKのなかでも屈指だろう。

 前にも記したようにGKを含めたビルドアップを志向するチームは増えているだけに、かなり希少価値の高いGKであるのは間違いない。こうしてベンチに座らせておくくらいなら、より適性の高いサッカーをするチームで、沖のプレーを見てみたい。そんなことを考える人は多いのではないだろうか。

 以上、今季J1を振り返り、もったいない選手の名前を挙げてきたが、彼らは今季の出場時間こそ少なかったものの、きっかけひとつで十分に活躍できる可能性を持つ選手ばかりである。

 新天地を求めるのか。あるいは、その場にとどまり、巻き返しを期すのか。

 いずれにせよ、再び彼らの能力が存分に発揮されることを期待したい。

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