2022年Jリーグのもったいない選手たち。日本代表DFから若手GKまでピッチでもっと見たかった

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

優勝争いの横浜FMや川崎からも

 9月にドイツ遠征を行なった日本代表が、2試合の先発メンバーを総入れ替えする大胆なターンオーバーを実施したことで話題となった。

 その是非はともかく、一般論として言えば、肉体的負荷が大きくなっている現代サッカーにおいて、少数精鋭で戦い抜くのは難しい。少なからず選手を入れ替えながら戦えるだけの戦力、つまりは選手層の厚さが求められる。

 とはいえ、選手層が厚いというのは、裏を返せば、実力がありながらベンチに座らせておく時間が長い選手、すなわち、「もったいない選手」が増えてしまうことでもある。

 そこで今季J1を振り返り、リーグ戦出場時間1000分以下(第33節終了時。以下、記録は同じ)を目安とし、もったいない選手を探してみたい。

畠中槙之輔(左)、チャナティップ(右)など、今季J1でもっと見たかった選手たち畠中槙之輔(左)、チャナティップ(右)など、今季J1でもっと見たかった選手たちこの記事に関連する写真を見る まずは首位に立つ横浜F・マリノスから、DF畠中槙之輔(16試合943分出場)である。

 ビルドアップ能力に優れた畠中は、今年8月のE-1選手権で日本代表に選出されたのをはじめ、代表経験も多いセンターバック(CB)。横浜FMでも今季前半は主力を務めていたが、夏場以降はサブに回る試合が続いた。

 最近のJリーグでは、J2も含め、ボールを保持して主体的に試合を進めようとするチームが増えた。それとともに、フィードセンスのあるCBに対する需要が高まってはいるが、残念ながら、それに応じられるほど供給は多くない。

 そうした状況を考えると、畠中をベンチに置ける横浜FMは、贅沢なまでに選手層が厚いとも言えるが、他チームの監督から見れば、かなりもったいない状態に映っているはずである。

 続いて3連覇の偉業達成に可能性を残す川崎フロンターレからは、今季移籍加入したMFチャナティップ(16試合956分出場)である。

 昨季まで足かけ5シーズン、北海道コンサドーレ札幌でプレーしたタイ代表MFは、2018年にはベストイレブンにも選出されるなど、主力アタッカーとして活躍。川崎でも旗手怜央(セルティック)らが抜けた穴を埋めることを期待されたが、今ひとつハマりきれていない。

 左FWや、左インサイドMFなどで起用されてはいるが、これといった最適なポジションも見つけられておらず、俊敏性に富んだ本来のプレーを発揮しきれていないのが現状だ。

 これもまた、川崎が志向するサッカーとチャナティップの特長とのミスマッチも含め、もったいないという印象は拭えない。

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