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中村憲剛と佐藤寿人が感じた、声援のありがたさ。「無観客の試合を経験したら、感謝の想いはより強くなった」 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

---- 映像で観るのとスタジアムで観戦するのとでは、また全然違いますからね。

中村 僕が現役を引退した2020年は、一時期、コロナの影響で無観客試合になったじゃないですか。あの時にやっぱり観に来てくれる人の力はすごいんだなと、改めて感じましたね。

佐藤 あの(無観客の)空気感はヤバかったですからね。練習試合かと。

中村 本当に味気なかった。もちろん、無観客試合は望んでなかったことでしたけど、サッカーは選手だけでするものではなく、ファン・サポーターも含めてみんなが作っているんだなと改めて感じられたという意味では、すごく大きかったですよ。

 選手はみんな、言うじゃないですか。「ファン・サポーターのおかげです」って。でも、あれは本当なんですよ。感謝しかないんです。無観客の試合を経験したら、その想いはより強くなりました。

佐藤 極端は話、無観客ではプロ選手は成り立たないですよ。たくさんの人が来てくれて、大声援が響き渡るあのスタジアムの空気感が、僕たちをプロでいさせてくれたんです。ふだんできないようなプレーができたり、苦しくてもあと一歩が出せるのは、ファン・サポーターの方がいてくれたおかげですね。

中村 非日常の空間ですからね。ふだん、あんなに感情を出せる場所ってないですから。ひとつのプレーに感動したり、喜んだり、悔しがったり。90分間であれだけ一喜一憂できることなんて、なかなかないことですよ。

佐藤 僕も憲剛くんも、今は解説とかでスタンドから観ることが多いじゃないですか。上から見ながら、あのピッチの上が一番楽しかったなって、今でも思いますね。この間も豊田スタジアムで久しぶりに声出し応援を聞いた時は感動しましたし、選手がうらやましかったですね。

中村 戻りたいなあ(苦笑)。

佐藤 自分で辞めるって言ったのに(笑)。

中村 ピッチの上で自分の存在意義を示すために身体を削ってやってきたことを考えると、今のピッチ上にはない平穏無事な空気感に物足りなさを感じることはあります(苦笑)。

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