Jリーグ終盤戦の見どころを福田正博が解説。優勝へひた走る横浜FMとACL争い。残留争いは混沌 (3ページ目)
監督交代の清水。補強が目立ったG大阪
このなかでとりわけ厳しく映るのが磐田だ。リーグ前半戦は得点力で勝ち点3を何度か手にしたが、その攻撃を相手に研究されて通じなくなっている。そのうえ守備が脆弱なため、引き分けの勝ち点1を積み重ねるのも難しくなっている。今夏は清水やシント=トロイデンでプレーしたDFの松原后を獲得したが、どこまで効果をもたらすか。
もうひとつの静岡県勢の清水も、現在最下位と苦しい状況だ。リーグ前半から低迷しただけに監督交代があり、6月からはブラジル人のゼ・リカルド監督が率いているが、まだ劇的な変化は出ていない。ただ、C大阪を退団したMF乾貴士がチームに加わり、7月31日の鳥栖戦では後半に3ゴールを奪って引き分けに持ち込んだ。
乾のような攻撃へのモチベーションが高い選手が加わったことで、もともと清水に揃う個の能力が高い選手たちが覚醒する可能性はある。
神戸はJリーグ再開初戦の柏戦は黒星を喫したものの、不振のトンネルの出口は見え始めている。ただ、シーズンで一度つまずいたチームはそう簡単に立て直せないのもサッカーの難しさだ。8月13日に札幌戦、9月3日に京都戦、9月10日に名古屋戦と、現在11位から15位に位置しているチームとの連戦に勝利できれば、残留の道は大きく開けていくだろう。
湘南の前半戦は、内容では勝っていても不思議ではない試合がありながら勝ち点を伸ばせなかった。しかし、6月半ばからの6試合は3勝3分けとして順位を上げてきた。ここからの戦いのポイントは、E-1選手権の日本代表に選出されたFW町野修斗だろう。彼が攻撃でどれだけ結果を残せるか。それ次第ではもっと上位に進出できる可能性はあると見ている。
ガンバ大阪にとって痛かったのは、5月から6月にかけての4連敗と、7月の3連敗だ。気がつけば降格圏がすぐの位置まで落ちてしまった。
今夏はポルトガルのエストリルでプレーしていたFW食野亮太郎を買い戻し、ベルギーのベールスホットでプレーしていたFW鈴木武蔵も獲得。鹿島からMFファン・アラーノ、東京ヴェルディからU-21日本代表のMF山本理仁も加えた。ただ、新戦力を獲得しても、それがチーム力になるには時間がかかる。そこをどれだけ即興性のある補強に変えられるかが、今後の残留争いの明暗になりそうだ。
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