コンサドーレ札幌のサッカーが面白い理由。ミシャは今季で5年目も常に前向きで挑戦的な試み (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

「ゴールをするのは、才能によるところが非常に大きい」と認めながらも、こう語る。

「広島、浦和時代もそうだったが、自分たちの戦い方のなかで、そこは補っていけると信じている。選手の成長も待ちたい。札幌というチームの予算的なものもあるが、我々は(選手を買ってくるのではなく)育てなければならないなら、しっかりと育てながら戦いたい」

 鹿島戦の前半は、指揮官曰く「今季で最も出来の悪い試合」だった。札幌はまったく攻撃が組み立てられず、中盤でボールを失っては、次々とショートカウンターを浴びた。

 DF福森晃斗が振り返る。

「立ち上がりから、自分たちのテンポでポゼッションできなかった。正しいポジションをしっかりとって、テンポよくワンタッチ、ツータッチで相手のプレスをかいくぐることができれば、全然問題なかったが、今日は相手のプレスに自らハマってしまった」

 しかし、だからといって、一度の失敗で肩を落としてはいられない。事実、札幌が攻勢に試合を進めた後半は、鹿島に点差ほど楽な逃げ切りを許さなかった。

 福森が続ける。

「相手がどれだけ自分たちを研究しようが、やるのは自分たち。相手のプレスにハマらないような正しいポジションをとって、11人全員がいい準備をすれば、どの相手にも問題ない。ミシャが監督になって5年目なので、そういうことが浸透されてきていると思う」

 決定力不足に悩むチームは、Jリーグにも数多い。

 だが、特別な才能を持った選手がいない以上、1回のチャンスで得点できないなら5回に、5回でもダメなら10回に、チャンスの数を増やせばいいじゃないか――。そんな思考で問題解決に挑み、しかも、それを実現できる(できそうな)チームはそれほど多くない。

 札幌のサッカーが面白い所以である。

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