柏を牽引するアカデミー育ちの若きタレントたち。20歳の新エース、18歳のジョーカー...タイプの異なる5人のFWが続々台頭

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

 先日、Jリーグが各クラブの今季のホームグロウン選手の人数を発表し、柏レイソルとサンフレッチェ広島が15人で最多となった。

 ホームグロウン制度は2019年に導入されたもので、自クラブで育成された選手(ホームグロウン選手)を既定の人数以上、トップチームに登録することを義務づけるもの。各クラブはアカデミーの整備を求められることになるが、簡潔に言えば、ホームグロウン選手の数が多ければ多いほど、クラブの育成の充実度を表すことになる。

パリ五輪世代でも注目を集める20歳のFW細谷真大パリ五輪世代でも注目を集める20歳のFW細谷真大この記事に関連する写真を見る 柏にしても、広島にしても、かねてより育成に長けたクラブとして知られている。金銭的に恵まれているわけではないため、アカデミーを充実させ、自前で育て、チームを強化していくスタンスだ。

 前者は明神智和をはじめ、大谷秀和、酒井宏樹、中山雄太らを育て、後者は森﨑兄弟を筆頭に、駒野友一、槙野智章、柏木陽介らを輩出している。今回、ホームグロウン選手が最多であったことから、両者はあらためて育成クラブの矜持を示した格好だ。

 興味深いのはこの両チームが今季、上位争いを演じている点だろう。とりわけ勢いに乗るのは柏のほうだ。開幕から好調を維持し、3連敗を喫した時期もあったが、12節を終えて4位と上位に位置している。

 ホームにガンバ大阪を迎えた13節の試合では、スタメン11人中3人が、ベンチも入れると8人がホームグロウン選手だった。この日だけではなく、前節の浦和戦でも同じく8人がメンバー入りを果たしている。

 しかも、その8人はいずれも1997年生まれ以降の選手たちで、パリ五輪世代も4人が含まれる。アカデミーで育った若きタレントたちが、好調の柏を牽引しているのだ。

 もっとも浦和とはスコアレスドローに終わり、G大阪との一戦でも多くの時間で押し込みながら、セットプレーから失点し、0−1と敗れている。

「決定機を決めることができずに、逆に相手の一発に泣かされたゲームだった。望んだ結果ではないが、今日の敗戦が我々の戦ったゲームの内容の価値を下げるものではないと、選手たちには声をかけた」

 ネルシーニョ監督は無念をにじませる一方で、試合内容については一定の評価を下している。

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