鹿島アントラーズ、完敗でも十分に見えた2つのポジティブ要素。王者相手に課題も露わ (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 この試合でも後半は、荒木、樋口、ディエゴ・ピトゥカが自在に立ち位置を変え、川崎ディフェンスを翻弄した。後半のシュート数は、川崎の2に対して鹿島は8。同じくCKの数も、川崎のゼロに対して鹿島は7。鹿島が川崎を圧倒した様子は、数字にも表れている。

 川崎は前の試合から中2日。しかも2点をリードしたことで、鹿島に"攻めさせてあげた"という側面はあったかもしれない。だとしても、鹿島の攻勢は、決してそれだけが要因ではない。

 後半に見せた迫力ある攻撃は、今季の鹿島に期待を抱かせるものだったと言ってもいいのではないだろうか。

 ただし、鹿島が今季、優勝争いに加わっていくための課題もはっきりした。

 いかにセンターバックの穴を埋めるか、である。

 このオフに、DF犬飼智也(→浦和レッズ)、町田浩樹(→ユニオン・サン・ジロワーズ)と昨季のレギュラーセンターバックをふたりまとめて失った痛手はあまりに大きく、冒頭で記した関川だけでなく、新たに獲得したDFキム・ミンテ(コンサドーレ札幌→)にしても、戦力としては十分ではない。守備はともかく、ビルドアップにおいては、いずれも心もとないと言わざるをえない。

 当座は、ボランチが本職のMF三竿健斗の起用でしのぐのか。あるいは、新戦力の獲得に動くのか。いずれにしても、優勝を狙うなら、何らかの対応が必要だろう。

 今季初黒星を喫したホーム開幕戦は、よくも悪くも、鹿島の現状を映し出していた。

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