浦和レッズのキャラ変に一抹の寂しさ。「好選手による好チーム」でいいのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 浦和レッズが2-0で川崎フロンターレに勝利した先日の富士フイルムスーパーカップ。昨季のJ1で6位に終わったチームが、今季3連覇を狙う王者を倒した試合と言えば、番狂わせが起きたように聞こえるが、特別大きな衝撃が現場に走ったわけではなかった。

 終始ボールを支配していたのは川崎。そこに浦和がうまくつけ込み、2ゴールをもぎ取った――という試合展開ながら、浦和が引いて守る弱者意識丸出しのサッカーをしたというわけではない。抜け目なく、したたかに戦った末の必然性の高い勝利という印象だ。

浦和レッズを率いて2季目となるリカルド・ロドリゲス監督。好チーム化が着々と進む浦和レッズを率いて2季目となるリカルド・ロドリゲス監督。好チーム化が着々と進むこの記事に関連する写真を見る かつての浦和は、どちらかといえば相手に"つけ込まれる"側だった。豪華なメンバーを揃えながら、優勝まで手が届かなかった大きな理由だ。Jリーグ30年史のなかで、優勝はわずかに1回(2006年)。普通のチームなら驚くべき話ではないが、浦和は特別なチームだ。

 2020年の年間予算(前年の営業収支)では、横浜F・マリノスに次いで、2019年、2018年ではヴィッセル神戸に次いで、それぞれ2番目。ただし、それ以前は浦和が長年にわたり、Jリーグで断トツのナンバーワンを維持してきた。

 顕著なのはスタジアムの集客だ。コロナ禍前の2019年の実績では1試合あたり約3万4000人。約2万3000人の川崎に対して、およそ1.5倍ということになる。川崎と対峙した浦和が貧弱そうに見えなかったのは、クラブの規模では川崎の上をいくという本来のビッグクラブ感を隠しきれなかった点にある。

 今季は松尾佑介(←横浜FC)や犬飼智也(←鹿島アントラーズ)、岩尾憲(←徳島ヴォルティス)を移籍で獲得。昨季の6位から今季は優勝争いに加わるのではないかと高い前評判を得ている浦和だが、シーズン直前に王者・川崎に2-0で勝利を収めたことで、その声は増幅しそうである。

 松尾や犬飼にしても、好選手ではあるが、少なくとも現時点においてバリバリの代表級ではない。川崎戦で2ゴールをマークした江坂任や、MF小泉佳穂しかり。ビッグネームの酒井宏樹を除けば、いわゆる好選手ばかりだ。

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