川崎フロンターレ・鬼木監督が目指す2022年のサッカー。5レーン、ポジショナルプレーに「こだわりはない」 (2ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

【選手の取り組みを見逃さない】

――選手を見るうえで、どういったところに着目しているのでしょうか?

「練習では、その選手が何を意識して取り組んでいるのかを汲み取るようにしています。結果的にうまくいく、いかないはあるにせよ、やろうとしていることを見逃さないようにしたいとは思っています。最近、チャレンジしているなとか、今は少しセーフティーなプレーが多くなってしまっているなとか。あとは、全体練習が終わったあと、残ってトレーニングをしようとしている姿勢や、練習の合間での選手同士のコミュニケーション、年齢の若い選手であれば積極的に先輩に話を聞きにいっている姿とか、ベテランの選手であればチームや若い選手を気にかけている姿とか」

――ときには、自分が見ていることを直接、選手に伝える機会もあるのでしょうか?

「言う時と言わない時の両方がありますね。選手が頑張っているなかでも心が折れそうになっていれば、ちゃんと自分の口からいろいろと伝えたいとは思っています。ただ、状況によっては、自分が言ったほうがいい時もあれば、そうではない時もある。本人にとって自分が話をすることで、ポジティブになれるようであれば言うようにしています。

 ただ、順番としては、まずはその選手がどうなりたいかだと思うんです。そこへの強さを持ち、貫いているのであれば、自分たちもそこに到達できるように最大限サポートしたい。ただ、うちは僕が働きかけなくても、コーチ陣がすべてやってくれるので、最終的に自分は見て、わかってあげていればいいかなと思っています。

 あと、話しながら、『変わったこと』についても考えていたんですけど、なにかあるかな(笑)」

――監督として5年が経ち、アップデートされたことなどは?

「監督就任当初と比べて、もっといろいろなものが整理されて、作業が減っていくのかと思っていましたが、逆なんですよね。今は、以前よりもやらなければいけないことが見えてきたところはありますが、もっとこうできたんだなと思うことばっかりだったりします。結果は残せている一方で、自分の力はどうなのかと感じるところもあります。だから、自分自身がアップデートされているかどうかもわかっていないんですよね(苦笑)」

――逆ということは、作業も増えていたり?

「そうなんですよ(笑)。やることが増えたところも多々あります。そのなかでも自分なりに取捨選択して、作業については少しずつスムーズになっていますが、最後の最後までメンバーを選ぶ時も迷いますし、戦い方についても迷います。まあ、これは性格的なところもあるかもしれません(苦笑)」

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