阿部勇樹の引退で思い出す「多色ビブス練習」。オシムチルドレンは今、どうしているのか? (4ページ目)

  • 津金壱郎●文 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

【ギャル曽根と張り合う大食い】

 オシムが監督に就任した2003年に駒澤大からジェフに入団し、1年目から出場を重ねて3年目にはリーグ戦12得点をマークしてFWの柱に成長。2006年にはジーコ監督が巻の名前を読み上げると会場がどよめくサプライズ招集で、ワールドカップ・ドイツ大会の日本代表メンバーに滑り込んだ。

 オシムジャパン発足後も日本代表に名を連ねた巻だが、2009年を最後に日本代表からは遠ざかった。クラブでは若返りを図るジェフで居場所を失い、2010年途中からロシアや中国でプレー。2011年からは東京ヴェルディ、2014年からは地元のロアッソ熊本で2018年の引退まで活躍。「利き足は頭」と語ったヘディングを武器にJ1、J2合わせて16シーズンで438試合69得点を記録した。

 引退後は地元でのサッカースクールなどの経営や、2016年の熊本地震後に立ち上げたNPO法人で震災復興、社外取締役としてタンパク質研究などに尽力するが、セカンドキャリアで多くの人が知るのが"大食いアスリート"だろう。ギャル曽根と張り合う食べっぷりで、サプライズ招集時を超える"どよめき"を何度も起こしてきた。

 オシムチルドレンのほとんどは現役を退いている。やがては彼らも恩師のような指導者となって現場に戻り、オシムチルドレン同士の監督対決で日本サッカーを盛り上げていく......そんな日が訪れるのが待ち遠しいかぎりだ。

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