次節で大一番を迎える徳島ヴォルティス。J1逆転残留へ必要なことは何か (2ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 それでも徳島は、FC東京が得意とするカウンターを封じながら、落ち着いてゲームを進め、前半のうちに先制。後半の立ち上がりには相手にペースを握られ、PKを与えてしまうも、これをGK上福元直人が見事に防ぐと、再び試合の流れを引き寄せた。

「この状況で、みんなが地に足をつけて戦うことができた」

 キャプテンのMF岩尾憲が口にしたそんな言葉が、勝因を物語る。

 なかでも出色の働きを見せたのは、19歳のMF藤田譲瑠チマだ。

 自身のJ1初ゴールで先制点を決めたことはもちろんだが、中盤でのボール奪取、攻撃の組み立て、相手をいなすようなボールキープ、さらにはゴール前でのフィニッシュと、活躍の場面は多岐に渡った。

 瀬戸際に立つチームが土壇場で何かを起こそうとするには、ラッキーボーイの出現も大事な要素。逆転残留を目指す徳島にとっては、今季加入の19歳が頼もしい存在となるのかもしれない。

 とにもかくにも、J1残留を目指す徳島にとっては、意気上がる勝利だったのは間違いない。5試合ぶりに手にした1勝には、単なる勝ち点3という以上の価値があるはずだ。

 というのも、次節はいよいよ残留をかけた大一番、15位・湘南ベルマーレとの直接対決を迎えるからだ。

 今季J1は早々に優勝争いが決着し、J2降格もすでに4枠のうち3枠が決まった。ほとんどの"争い"において大勢が決した感のあるシーズン終盤、この試合こそが最大の注目カードになると言ってもいいだろう。

 あと2節を残し、J2降格の可能性があるのは、勝ち点36で15位の湘南(得失点差-4)、同36で16位の清水エスパルス(同-19)、同33で17位の徳島(同-20)の3チーム。現状、降格圏にいる徳島にしてみれば、湘南との直接対決は絶対に勝ちたい試合であるのは確かだ。

 ただし徳島が忘れてはいけないのは、J1残留のためには、順位をひとつだけ上げればいいということ。つまり、湘南か、清水か、いずれかを勝ち点で上回ればいいということだ。

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