一時J2最下位で非常事態だった大宮アルディージャ。降格の危機からは脱したのか

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki

 今季J2で大宮アルディージャが最下位に転落したのは、第12節終了時のことだった。

 以降、大宮は最下位こそ脱しても、J3降格圏(19位以下)から抜け出すことは難しく、一度は残留圏に浮上することはあっても長くは続かなかった。ようやく"本格的に"降格圏から脱出したのは、最近のこと。最新の第33節終了時点では、15位まで順位を上げてきた。

 最悪の事態は避けられた。ひとまず安心。そんな順位にも見える。

 しかしながら、今季新たに就任した岩瀬健監督の解任という荒療治を経て、第18節からは霜田正浩監督が指揮を執っているが、現体制になって以降の成績も、5勝3敗8分けと劇的に好転しているわけではない。

 順位表のうえでは15位でも、J3降格圏となる19位との勝ち点差はわずかに3。最下位の22位との勝ち点差でさえ5しかないのである。

 順位から受ける印象ほどに、大宮の安全は保証されていない。直近の第33節ツエーゲン金沢戦も、そんな危うさを象徴するような試合だった。

3連勝を狙った大宮アルディージャだったが、ツエーゲン金沢相手に2-2の引き分けに終わった3連勝を狙った大宮アルディージャだったが、ツエーゲン金沢相手に2-2の引き分けに終わったこの記事に関連する写真を見る 大宮は金沢戦直前の2節で連勝し、霜田監督就任後の成績では初めて白星がふたつ先行と調子は上向き。しかも、対戦相手は眼下の敵、勝ち点2差で18位の金沢なのだから、確実に叩いておきたかった試合である。

 ところが、だ。

「今日は集中力をテーマに臨んだが、最初の10分で集中を欠いたゲームをしてしまい、自分たちでゲームを難しくしてしまった」

 霜田監督がそう嘆いたように、大宮は試合開始早々の4分に先制点を許すと、その後も不用意なショートカウンターを立て続けに受ける展開が続いた。

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