Jリーグ9月のベストイレブンを選定。シーズン終盤に向け好調な選手は誰か (2ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo

 強靭なフィジカル能力を生かして常にゴールを狙う姿勢は、さすがに現役のポーランド代表だ。そして、その戦う姿勢が周囲にも良い影響を与えている。

 中谷進之介は安定感を増してきたし、稲垣祥は守備で貢献しただけでなく、9月最終の大分トリニータ戦では決勝ゴールも決めている。そして、年間無失点試合の新記録(19試合)を達成したチームのGKもはずすわけにはいかないだろう。

 最近のJリーグでは日本人の若手も含めて優れたGKが増えているが、ランゲラックの安定感は抜群だ。ちなみに、名古屋の選手のなかでは、左サイドバックの吉田豊の守備力、そしてゴリゴリと押し込むような力強い攻撃参加も魅力的だった。

 鹿島アントラーズはYBCルヴァンカップを落とし、アビスパ福岡に敗れるなど9月前半は調子を落としたものの、立て直しに成功。川崎には逆転負けを喫したが、内容的には勝ちゲームだった。

 鹿島を支えるのは伝統的な4バックのフラットラインと、2人のボランチだ。現在、その中心を担っているのが町田浩樹であり、攻撃面で変化を付ける役割が左サイドの安西幸輝だ。

 安西はタッチライン沿いだけでなく、内のレーンも使って、非常に効果的な動きを見せている。

 もう一つ、8月14日にサガン鳥栖に勝利して以来、9月末まで無敗を続け、ルヴァンカップの準々決勝で川崎を退けた浦和レッズも注目を集めた。リカルド・ロドリゲス監督の就任から半年が経過して、ようやくチームがまとまってきた。

 そんななかで月間3ゴールを決めたのが、夏に柏レイソルから移籍してきた江坂任だ。柏時代には正確なパスで前線の選手を生かす黒子役に徹していたが、浦和では自ら得点を決めて主役を張る選手に変身した。同じ「偽の9番」タイプの小泉佳穂と組むツートップは今後に向けて大きな可能性を感じさせる。

 また、同じく夏に浦和に加わった酒井宏樹も、疲労の蓄積で代表を離れたもののすぐに復帰。守備に安定感を与えるだけでなく、サイドバックの攻撃参加を重視するロドリゲス監督のチームで重要な役割をこなしている。左のサイドバックで起用されている明本考浩のプレーとの対称性も面白い。

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