今季Jリーグの「ベストヤングプレーヤー」は誰か。ハイレベルな争いをする候補者たち (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 また、サガン鳥栖の主力として活躍しながら、今夏、清水エスパルスに新天地を求めたMF松岡大起は、年齢に見合わない落ち着いたプレーが際立つ。清水でも、すぐに不可欠な戦力となっており、実戦経験では同年代トップレベルだ。

 ブラジル人アタッカーがひしめく柏レイソルでは、伸び盛りのFW細谷真大がハツラツとしたプレーを見せている。

 しかしながら、出場試合数だけでなく、そこでの内容や印象度も加味して考えると、やはり"2強"との差は大きい。

 今年21歳でプロ4年目の谷に対し、今年19歳の荒木は早生まれのプロ入り2年目。Jリーグでのキャリアは異なるが、このふたりが今季ヤングプレーヤーを争うことになるのは、まず間違いないだろう。

 では、栄えある賞を最後に手にするのは、どちらか。

 ひとりを選ぶのは難しいところだが、現時点で一歩リードしているのは、谷だろう。

 1993年のJリーグ開幕以来、新人賞時代も含めてヤングプレーヤー受賞者にGKはわずかふたり。1995年の川口能活(当時・横浜マリノス)と、2007年の菅野孝憲(当時・横浜FC)がいるだけだ。豊富な経験が求められるポジションとあって、そもそも若い選手が活躍すること自体、希少性が高く、その分インパクトは強い。

 しかも、谷は東京五輪で強い印象を残しているだけでなく、その勢いのままに日本代表にも初選出されている。本来、ベストヤングプレーヤーの選考はJ1での活躍だけを評価対象とすべきなのだろうが、どうしても印象度が高くなることは否めない。

 荒木がインパクトで上回るために必要なのは、やはりゴールだろう。リーグ戦10ゴールのクリアはもちろんのこと、残り7試合でいくつ上乗せできるか。その数次第では、大きな決め手となる可能性も十分ある。

 今季ヤングプレーヤーの本命は谷。対抗は荒木。焦点は、荒木がどこまでゴール数を伸ばし、強いインパクトを残せるか、である。

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