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監督交代、乾貴士の復帰......不振のセレッソ大阪、新体制は光明を見出せるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 8月28日、セレッソ大阪はガンバ大阪とのダービーマッチをアウェーで戦っている。コーチだった小菊昭雄が監督に昇格。注目された初陣を0−1と制した。

 監督交代は、とりあえず吉と出たと言えるだろう。

 試合翌日には、スペインでプレーしていた乾貴士の復帰が明らかになった。ロシアW杯で日本代表の主力だったアタッカーの獲得に、期待感が高まる。試合から長く離れているために調整は必要になるはずだが、何よりの追い風だ。

 試合2日前、クラブはレヴィー・クルピ監督との契約解除を行なっている。直近の湘南ベルマーレ戦、本拠地で1-5と大敗を喫したことが、直接の引き金となった。チームは12位に低迷し、攻守にちぐはぐさが目立った。満足にボールをつなげず、個人の力に頼ったサッカーで、事実上の解任だろう。

 ある意味で予想されていたクルピ・セレッソの不振を検証することで、新体制の行方も見えてくるかもしれない。

2011年にボーフム(ドイツ)に移籍して以来、10年ぶりのセレッソ大阪復帰となる乾貴士2011年にボーフム(ドイツ)に移籍して以来、10年ぶりのセレッソ大阪復帰となる乾貴士この記事に関連する写真を見る「個人の判断に任せる」
 
 それがクルピ監督の基本だった。これは多くのブラジル人監督の傾向とも言える。余談だが、戦術的志向が強い欧州各国リーグで、アルゼンチン人の名将はいても、ブラジル人がひとりもいないのは偶然ではない。

 セレッソは、そのクルピに舵取りを託した。すでに一度は監督引退も決めていた人物である。控えめに言って、不可解な人事だった。

 スペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いて2シーズン、セレッソは5位、4位と悪くない成績を残していた。ポジション的優位を保つために規律を植えつけ、守備は堅牢になった。守備が安定したことで、選手がやるべきことを心得て、才能を開花させた。坂元達裕は代表に入ったし、奥埜博亮、藤田直之はキャリア最高のパフォーマンスを見せ、清武弘嗣が復活し、瀬古歩夢は東京五輪代表に選ばれるまでになった。

「ロティーナ監督のサッカーは守備的で退屈」

 そんな評価が路線変更の裏にあったとも言われるが、現場では確実に選手が成長していた。たとえば、守備を固めながら、自分たちのボールを大事にすることが求められたことから、GKキム・ジンヒョンはキックが目に見えて上達した。戦術の浸透による波及効果は計り知れなかった。

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