2021.09.01

監督交代、乾貴士の復帰……不振のセレッソ大阪、新体制は光明を見出せるか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 8月28日、セレッソ大阪はガンバ大阪とのダービーマッチをアウェーで戦っている。コーチだった小菊昭雄が監督に昇格。注目された初陣を0−1と制した。

 監督交代は、とりあえず吉と出たと言えるだろう。

 試合翌日には、スペインでプレーしていた乾貴士の復帰が明らかになった。ロシアW杯で日本代表の主力だったアタッカーの獲得に、期待感が高まる。試合から長く離れているために調整は必要になるはずだが、何よりの追い風だ。

 試合2日前、クラブはレヴィー・クルピ監督との契約解除を行なっている。直近の湘南ベルマーレ戦、本拠地で1-5と大敗を喫したことが、直接の引き金となった。チームは12位に低迷し、攻守にちぐはぐさが目立った。満足にボールをつなげず、個人の力に頼ったサッカーで、事実上の解任だろう。

 ある意味で予想されていたクルピ・セレッソの不振を検証することで、新体制の行方も見えてくるかもしれない。

2011年にボーフム(ドイツ)に移籍して以来、10年ぶりのセレッソ大阪復帰となる乾貴士2011年にボーフム(ドイツ)に移籍して以来、10年ぶりのセレッソ大阪復帰となる乾貴士 この記事に関連する写真を見る 「個人の判断に任せる」
 
 それがクルピ監督の基本だった。これは多くのブラジル人監督の傾向とも言える。余談だが、戦術的志向が強い欧州各国リーグで、アルゼンチン人の名将はいても、ブラジル人がひとりもいないのは偶然ではない。

 セレッソは、そのクルピに舵取りを託した。すでに一度は監督引退も決めていた人物である。控えめに言って、不可解な人事だった。

 スペイン人のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督が率いて2シーズン、セレッソは5位、4位と悪くない成績を残していた。ポジション的優位を保つために規律を植えつけ、守備は堅牢になった。守備が安定したことで、選手がやるべきことを心得て、才能を開花させた。坂元達裕は代表に入ったし、奥埜博亮、藤田直之はキャリア最高のパフォーマンスを見せ、清武弘嗣が復活し、瀬古歩夢は東京五輪代表に選ばれるまでになった。

「ロティーナ監督のサッカーは守備的で退屈」

 そんな評価が路線変更の裏にあったとも言われるが、現場では確実に選手が成長していた。たとえば、守備を固めながら、自分たちのボールを大事にすることが求められたことから、GKキム・ジンヒョンはキックが目に見えて上達した。戦術の浸透による波及効果は計り知れなかった。