J2ウォッチャー平畠啓史さんが激推し。今季絶対に注目してほしい選手3人 (3ページ目)

  • 池田タツ●取材・文 text by Ikeda Tatsu
  • photo by Getty Images

 取れそうで取れないような強さで出すので、相手はカットしようと出てくるんですが、結局京都の選手にボールが渡って、その相手と入れ替わることになります。強いパス、あるいはロングパスを蹴れる人はたくさんいますが、この弱いパスのさじ加減はアンドレス・イニエスタ選手みたいなんですよね。

 また、ボールを持った時の懐の深さがあります。うまい選手って、スピードを上げなくてもドリブルで運べるんですよね。僕もそうでしたが(笑)、下手な選手はボールを持つと密集から逃げたくてスピードを上げるんです。でも、スピードを上げれば上げるほど、プレーが雑になってボールを取られちゃう。

 でも武田選手は密集でボールを受けても慌てません。懐が深くて、絶対に取られないところにボールを置ける自信があるので、慌てずにプレーできて、だからこそ次のプレーが正確なんです。

 武田選手は、みなさん本当に注目してほしい。もっと上のレベルでもできる選手だと思います。

◆J2のブレイク候補5人。引き抜かれないかサポーターは常にヒヤヒヤ>>

<改めて伝えたいJ2の魅力>

 J2の魅力は独得ですよね。いわゆる2部相当のリーグですけど、単純にそうとは言えない魅力や空気感があります。

 目に見えない、共同体の感じがあるような気がします。別に「俺たちJ2の仲間だぜ」ということではないですよ。相手に負けたら悔しいし、腹も立つ。でもJ1に昇格したチームや選手には「頑張って来いよ!」といった雰囲気がある。

 だから、ハマる人はハマっちゃうんじゃないかな。どのクラブを応援していても、活躍した選手が引き抜かれたりする切なさは、どうしても感じることがある。自分が応援している選手は絶対引き抜かれてほしくなくて、噂が出たらやばいと思ったり。あるいは他のクラブの選手が引き抜かれても、ちょっとかわいそうだなって感じたり。でもJ1に行ったら、「頑張れよ!」っていう思いもある。

 本当にモザイク模様のような複雑な気持ちなんですよね。『強いからよし!』、『負けたから残念!』だけではない、いろんな感情が渦を巻くんです。心の機微に訴えるものがあります。

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