J1クラブ別「歴代最高のストライカー」は誰だ?【東日本10チーム編】 (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 とりわけ、東日本大震災が発生した2011年には完全移籍を果たして14ゴールを記録するなど、チーム4位躍進の原動力となる。翌年も14ゴールを決めてリーグ2位に大きく貢献。震災で苦しんでいた仙台市民に数多くのゴールで夢と希望を与えたという点においても、その功績は大きい。

★鹿島アントラーズ「柳沢敦」

 長谷川祥之、興梠慎三、大迫勇也......。日本屈指のストライカーを多く輩出する鹿島アントラーズからは、リーグ戦80ゴールをマークした柳沢敦を歴代ベストに選出する。

 ゴール数では89得点の長谷川が上回るので、人選は実に悩ましいところ。だが、やはり日本代表としての実績、知名度、ステイタスなど、総合的に見て柳沢にしたい。

 柔らかいボールタッチ、周囲を生かすためのオフザボールの動き、ボックス内での冷静さなど、柳沢のプレーにはそれまでの日本人ストライカーの固定観念を覆す要素がふんだんに盛り込まれていた。やがてその系譜は大迫にも受け継がれ、日本における新しいCF像の礎(いしずえ)となったと言っても過言ではない。

★浦和レッズ「興梠慎三」

 浦和レッズのベストは、現在も浦和でプレーする興梠慎三で異論はないだろう。

 2005年にデビューした鹿島時代も含めると、これまでリーグ戦(すべてJ1)で157ゴールを量産(4月24日時点、以下同)。これは、大久保嘉人、佐藤寿人に次ぐJ1リーグ通算得点ランキング3位の成績で、さらに2012年からは9年連続でシーズンふたケタ得点を継続中だ。

 2013年に加入した浦和では、これまでリーグ戦108ゴールを記録。浦和ひと筋だった「ミスター・レッズ」福田正博のリーグ戦93ゴールも上回る。身長175cmと現代のFWとしては決して恵まれた体格とは言えないが、冷静なフィニッシュワーク、ポジショニング、シュート技術など、フィニッシャーとして必要な能力をすべて兼ね備える生粋のゴールハンターだ。

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