Jリーグで監督のキャリアアップによる「動き」が活発化しないのはなぜか
本来、もっと大きな話題になっていても不思議のない、異例のヘッドハンティングである。
今季、浦和レッズは、新監督としてリカルド・ロドリゲス監督を迎え入れた。過去2シーズン、浦和はいずれもJ1でふた桁順位に終わっているのだから、監督交代自体は驚くべきものではない。
しかし、異例なのは、その人選だ。
ロドリゲス監督は昨季、徳島ヴォルティスをJ2優勝へ導き、念願のJ1昇格を果たしばかり。徳島にしてみれば、過去4シーズンに渡ってチームを率い、ボールを保持して主体的にゲームを進めるスタイルを植えつけてくれた指揮官とともに、意気揚々とJ1に乗り込みたかったに違いない。
ところが、そんなJ1昇格の功労者を、浦和が引き抜いたのである。
今季から浦和レッズの指揮官となったリカルド・ロドリゲス監督 過去にチームをJ1昇格に導いた指揮官が、翌シーズンにJ1で指揮を執ることなく監督交代となった例は、僅少ながらないわけではない。
だが、それらの多くは、例えば2016年にセレッソ大阪がJ1昇格を果たしたときの大熊清監督(2015年途中で就任し、2016年いっぱいで退任)のように、いわば"ワンポイントリリーフ"としてJ2での指揮を執っていた監督である。J1昇格後の"降板"は既定路線だったと言ってもいい。
今回のロドリゲス監督のようなケース――長くチームを率いて着実に強化を進め、ようやく大輪の花を咲かせたところで他チームへ移籍――となると、これがヨーロッパならともかく、Jリーグでは異例の事態だ。
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