蘇った大久保嘉人。基本に忠実な動きが得点力を支えている (2ページ目)
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プルアウェイで動き直し、坂元と目が合った瞬間にDFの前に入り込んだ
動きとしては特別なものではない。むしろ基本に忠実で、お手本のような動きである。
一度外側へ動き直した大久保は、そこから相手の前に入る動きからシュートを決めた 豊川のバックパスに合わせ、FC東京守備陣も同時にラインを上げる。この時、ペナルティーエリア中央にいた大久保は、豊川のパスがずれて流れたボールを坂元が拾うのを見ると、プルアウェイでFC東京の中村帆高の背中に隠れるように、外側へ動き直した。中村はボールと反対側にいる大久保の姿を捉えることができない。
そして坂元がルックアップし、目が合った瞬間だ。中村の背後に隠れていた大久保は、中村の前に入り込むように抜け出し、坂元のパスを呼び込む。中村は急に現れた大久保に対応できず、完全に置いていかれた。
そしてエリア中央にフリーで抜け出した大久保へ、坂元からピンポイントのクロスが入る。大久保はそれを頭でほんのわずかにかすめるように流すと、FC東京GK波多野豪は逆を突かれ、ボールはゴールに吸い込まれていった。
この試合で大久保が放ったシュートは、この1本だけである。ほかの試合でも大久保に巡ってくる決定機は決して多くはない。それでもこの得点のように何度も動き直し、いつか訪れるチャンスを狙いつづけ、仕留めている。
途切れない集中力と、衰えていなかったストライカーの嗅覚。キャリア終盤で蘇った点取り屋・大久保が、今季どこまで得点を伸ばすのか注目だ。
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