主力が流出。J1移籍状況で見極める戦力ダウン必至のチームワースト3 (2ページ目)

  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ロティーナ監督を失った損失は大
あまりに不透明なセレッソのオフ戦略

小宮良之氏(スポーツライター)

C大阪はロティーナ監督を失ったことが大きな損失C大阪はロティーナ監督を失ったことが大きな損失1位=セレッソ大阪

 セレッソ大阪は、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(→清水エスパルス)を失った損失が大きい。安定した攻守で、リーグ4位という結果を出した監督と契約を更新せず、チームをシャッフルしたフロントの決断は"意外"だ。

 復帰となったブラジル人のレヴィー・クルピ監督は自由な風潮を醸し出し、結果を出した実績もある。MF西川潤のように荒削りの新鋭選手にチャンスを与え、力を引き出す手腕は期待されるか。しかし采配に論理性は乏しく、ロティーナ時代の流れを断ち切る価値はあったか。

 成績不振に陥った場合、技術委員長に就任した風間八宏氏を"投入"という流れを想定しているなら、FW大久保嘉人(東京ヴェルディ→)の獲得も「さもありなん」と言えるが......。半数近くの主力を放出し、あまりに不透明だ。


2位=ヴィッセル神戸

 ヴィッセル神戸はここ数シーズン、人事面で不可解さが消えない。まず、実直な仕事をしてきた外国人監督たちがなぜ、いずれもチームを去らざるを得なかったのか。ミステリーだ。

 2021年シーズンに向けては、主力のDF西大伍(→浦和レッズ)を失っただけでない。貴重なバックアッパーだったFW小川慶治朗(→横浜FC)、DF渡部博文(→レノファ山口)、DFダンクレー(→未定)も手放した。若い選手は育っているし、レンタルバックのDF小林友希(横浜FC→)は有望なセンターバックだが......。

 例年の大物外国人選手獲得は、ブラジル人アタッカー、リンコン(フラメンゴ/ブラジル→)が決まった。しかし「天才」という触れ込みだが、あくまでユース年代の話で、プロとしての経歴は乏しい。どこまで戦力になるか不明だ。

 今までの神戸は、MFアンドレス・イニエスタの神々しいプレーで不具合を隠してきたが......。


3位=大分トリニータ

 大分トリニータは、主力がはぎとられた印象になっている。3バックのカギだった日本代表の岩田智輝(→横浜F・マリノス)、キャプテンシーを発揮していた鈴木義宜(→清水)、左ウィングバックで攻守を動かしていた田中達也(→浦和)、中盤で舵を取っていた島川俊郎(→サガン鳥栖)などの主力が次々に移籍。また、兵役で退団することになったGKムン・キョンゴン(→帰国)の放出も大きな痛手になりそうだ。

 救いは、片野坂知宏監督が明確な戦い方を選手に提示できることだろう。ベガルタ仙台から移籍のFW長沢駿など、新戦力がプレースタイルに適応することで、思いがけぬプラスアルファが生まれるか。

 ただ、半数近くも選手が入れ替わるのは懸念材料でしかない。

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