2020.12.17

カズの記録更新より「積み上げ」を見せつけた宮本ガンバの真骨頂

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

 今シーズン、ガンバでは下部組織出身者の若手が数多く抜擢され、選手層が分厚くなった。誰が出ても、戦力的に落ちない。故障者が出ても、変わって台頭する選手がいた。チームとして、確実に成長を示した1年だった。

 その根幹となっていたのは、やはり守備の整備にある。

 横浜FC戦も、バックラインがチーム全体を動かしていた。もっと端的に言えば、センターバックに入った三浦弦太、昌子源の2人が、丁寧に、果敢に、大胆にラインを作った。味方に対する指示も的確で、ポジション的な不利を極力、生じさせていなかった。結果、攻められているように見えても、単独でエリア外から放たれたシュートが多く、守備組織を崩された回数は数えるほど。裏に出たボールへの対応も淀みなく、守備でリズムを作っていた。

 リトリートしても、ただラインを下げるだけではない。チーム全体で、じりじりとボールの出どころを潰しながら下がり、相手が怯んだら再び上げる。うんざりするような細かい作業を、誰ひとり怠っていなかった。チームとしての戦いが明確化されていることで、例えば若いボランチの2人(山本、奥野耕平)も防御壁になりつつ、出しどころにもなっていた(山本がときおり見せた縦パスは非凡なものがあった!)。

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細かいラインの作り方は、かつて日本代表でディフェンスの中心にいた宮本恒靖監督の真骨頂と言えるか。

「(ボールを持つ)時間を持てず、我慢が続いた試合だったと思います。ただ、選手たちは今シーズン、特に後半戦は割り切ってプレーをしていて、そこでやられない粘り強さも見せてくれるようになりました。追加点をしっかりとあげてくれた」(G大阪・宮本監督)

 80分、ガンバは敵陣で相手のつなぎのミスを誘発させると、奪い取ったボールに放たれた矢のように出てきた倉田がシュート。これはGKに防がれたが、それを拾った渡邉が、再びエリア内で右足を振る。これもGKにブロックされるも、最後はこぼれをパトリックがねじ込んだ。しつこい守備、攻撃への切り替え、選手の立ち位置、波状攻撃などの質の高さで決着をつけた。