川崎Fは史上最強か。識者が選ぶJリーグ歴代優勝クラブのランキング (2ページ目)
膨大な戦力を備えた浦和
原山裕平氏(サッカーライター)
これほどまでに膨大な戦力を備えたチームは、Jリーグの歴史においても稀有だろう。
山岸範宏、都築龍太と日本代表クラスのGKがひとつのポジションを争い、最終ラインには坪井慶介、田中マルクス闘莉王と、立ち上げ当初のオシムジャパンのレギュラーセンターバック(CB)が君臨。中盤の鈴木啓太、長谷部誠、三都主アレサンドロ、さらにはFWの田中達也も、やはり日本代表である。
日本人選手だけでも豪華絢爛なのに、外国籍選手も規格外だった。鮮やかなテクニックで攻撃を司ったロブソン・ポンテ、パワフルなプレーでゴールを量産したワシントン。各ポジションにリーグ屈指のタレントを揃えていたのだから、むしろ優勝しないほうがおかしかった。
この年にフェイエノールト(オランダ)から復帰した小野伸二でさえもポジションを確約されていたわけではなく、他にも山田暢久、相馬崇人、永井雄一郎、堀之内聖、ネネ、平川忠亮ら実力者がずらり。そのチームを率い、初優勝をもたらしたのが、クラブのレジェンド、ギド・ブッフバルトである。決して特異な戦術を備えていたわけではないが、タレント力を十全に引き出し、個性派軍団をひとつにまとめあげた。
とりわけ際立ったのは闘莉王を中心とした強固な3バックだ。34試合でわずか28失点と1試合平均1失点にも満たない堅牢ぶり。リベロ然とした闘莉王の自由奔放さも、坪井や鈴木らがカバーすることで、相手に隙を与えなかった。
勝因は戦術を超えた個の力。タレントを集め、ビッグクラブの道を歩み始めたこの年の浦和には、強さだけでなく、アジア、そして世界に羽ばたかんとするロマンがあった。
※4位には1ポイント差でヴェルディ川崎/1993年がランクイン。
ブラジルスタイルで超攻撃的だったヴェルディ
西部謙司氏(サッカージャーナリスト)
Jリーグ開幕年の1993年、ヴェルディ川崎は優勝候補筆頭だった。三浦知良、武田修宏、ラモス瑠偉、柱谷哲二、北沢豪、都並敏史の日本代表選手たちに、ブラジル人のペレイラ、ビスマルクという豪華布陣。日本リーグ時代からのパスワークと個人技はブラジルの香りがした。与那城ジョージとラモスの読売クラブ時代も強かったが、より洗練されて安定感のあるチームになっていた。
松木安太郎監督の下にJリーグ開幕を迎えたが、新加入のオランダ人選手と代表戦から戻ってきたメンバーがフィットせず、それが引き金となって内紛状態に。スタートダッシュに失敗して、ファーストステージを鹿島アントラーズに持っていかれた。
しかし、新たに補強したビスマルクが救世主的な働きを示し、ブラジルスタイルへ回帰したことでセカンドステージは圧倒的な強さだった。この年のほとんどのチームがそうだったようにヴェルディも異常なほど攻撃的で、GKとCBを残して8人がゴール前へ殺到していくようなところがあった。華麗な攻撃陣の陰でカウンターを切りつづけたペレイラ、ロッサムのCBコンビの貢献は意外に大きかったと思う。
Jリーグ人気の牽引車となり、他と隔絶した実力を示した特筆すべきチームだった。
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