2020.12.07

グランパスを飛躍させた2人のハンター。「オルンガ封じ」も完璧に遂行

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 怪物・オルンガをいかに食い止めるのか......。それが、柏レイソルの本拠地に乗り込んだ名古屋グランパスにとっての最重要テーマだった。

 28試合で26得点と驚異的なペースでゴールを量産し、ここまで3試合連続ゴール中。前回対戦でも決勝点を許した規格外のストライカーを封じなくして、名古屋の勝利はないといっても過言ではなかった。

オルンガに激しくチャージするボランチの稲垣祥 そんなミッションが課せられたなか、カテナチオの国からやってきた名古屋の指揮官マッシモ・フィッカデンティは"オルンガ封じ"の完璧なプランを用意していた。

「我々のよさをしっかりと出し、柏のよさを消していくために、今日はいつもより後ろの位置でブロックを作った。背後のスペースを与えず、ボールを持った時には相手を下げさせてからプレーするという形が試合を通してできたと思う」

 長身ながらスピードに優れ、カウンターでより力を発揮するオルンガには、スペースを与えないことが何より有効な対抗策となる。試合を通じて名古屋はこの意識を徹底し、オルンガ封じを見事に遂行。一瞬の隙を突いて決勝点を奪い、代名詞とも言える"ウノゼロ勝利"を手にしている。

「自分たちがやろうとしていた守備がしっかりとハマった試合だった」

 柏のアカデミーで育ち、2018年から名古屋に在籍するCBの中谷進之介は、古巣相手の会心の勝利に胸を張った。

 もちろん、スペースを与えないために下がりすぎると、相手の攻撃をモロに受け、いずれ決壊してしまう危険性も十分にあり得る。しかし、この日の名古屋はラインを下げても、決して押し込まれたわけではない。

 最終ラインの手前のエリアでボールを追い続けた、米本拓司と稲垣祥の2ボランチの存在があったからだ。

 チームの心臓とも言えるボランチは、パサータイプとバランサー、もしくはボール奪取型とのセット起用が一般的だ。守備に秀でた選手が最終ラインの手前のエリアをカバーし、もうひとりのボランチがやや高めの位置でゲームをコントロールする。それぞれの能力を引き出し、補完し合う関係性こそが2ボランチのセット起用には求められる。