変則ACLを日本勢はどう戦う?横浜FMは一気に勝ち上がる可能性も (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 長谷川監督はシステムや人材を試したが、橋本がいる時と同じ水準の形は見つけ出せていない。90分の中で必ず脆さが出た。ただ、守備ベースは支えになる。注目は中村拓海だ。非凡なビジョンとテクニックで、右サイドでゲームを作り出せるセンスがある。

 FC東京はまず、第3節(11月24日)、第4節(11月27日)を上海申花と戦うが、相手は週2のペースで延期分の第1節、第2節の連戦を戦った後だけに、体力的に有利と言える。ここで上海を叩けるか。ブラジル人トリオが爆発すれば、グループリーグを勝ち上がる力は十分にある。

 一方、神戸は何もかもアンドレス・イニエスタ次第だろう。アジアでは今でも別次元。本気になったイニエスタは周りの選手を輝かせ、攻守は旋回させる。そして、戦力もアジアで引けを取らない。

 イニエスタが健在なら、酒井高徳、西大伍のサイドバックは勇躍し、山口蛍はやるべき仕事が整理でき、古橋亨梧、ドウグラスの2人のストライカーはゴールチャンスを得ることができる。郷家友太、小田裕太郎の台頭も目覚ましく、朗報と言えるだろう。また、ジョーカーとして見込まれる藤本憲明や田中順也は、初見だとマークが難しいはずだ。

 ただ、トルステン・フィンク監督が去った後、チームは監督交代のカンフル剤で一時的に勝ち点を稼いだものの、それはイニエスタの奮闘によるところが大きかった。今や、戦い方を見失いつつある。攻守の歯車がちぐはぐで、組織的な動きはない。選手個々がそれぞれ奮闘しているが、深刻さは増すばかり。直近10試合の1勝1分け8敗という数字が厳しい状況を如実に示している。

 カタールでは2連勝で首位の優位を生かせるか。第3節(11月25日)、第4節(11月28日)を戦う広州恒大はパウリーニョがケガで離脱したものの、リカルド・グラウが復帰し、強敵となる。ただ、相手は中二日の試合だけに、勝ち点を稼ぐことができたら活路は開ける。あとは、イニエスタの"降臨"を祈るしかない。

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