Jリーグ月間MVP独自ランキング。三笘薫はルーキーの枠に収まらない (6ページ目)
出色の出来だった三笘薫
浅田真樹氏(スポーツライター)
1位 三笘薫(川崎フロンターレ)
2位 東口順昭(ガンバ大阪)
3位 マテウス(名古屋グランパス)
4位 パトリック(ガンバ大阪)
5位 森島司(サンフレッチェ広島)
ルヴァンカップ準決勝を除けば、J1リーグ戦は全勝。10月も川崎の勢いが止まらなかった。当然、選手個々を見ても、プレーの出来が悪いはずはない。より得点に直結するプレーを増やしている田中碧や、数字以上に価値あるゴールを決めているレアンドロ・ダミアン、抜群のカバーリングに加え、得点能力も見せたジェジエウなど、高いパフォーマンスが目立っている。
とはいえ、やはり三笘薫のそれは出色だ。一時、疲労の蓄積を感じさせる試合もあったが、依然ドリブルの威力は健在。残り10試合を切ってもなお、"わかっていても止められない"レベルにある。攻撃に多少の手詰まり感が生じても、左サイドに三笘がいることで大きな障害にはならない。それが、引き分けすらなかった川崎の強さを成立させている。
10月無敗と好調だったG大阪では、GK東口順昭の働きが目立った。得点力が高いとは言えず、僅差の勝負をしのいできたチームにあって、東口の決定機阻止が勝利を呼び込んでいた。
と同時に、数こそ多くないものの、価値あるゴールを決めていたのが、パトリック。2014年の三冠達成当時を思い出させるような、ここぞの決定力を見せている。
同じく10月好調だった名古屋からは、マテウスを推したい。鮮やかなFKを含むゴールもさることながら、高い位置での守備から速い攻撃へとつなげ、チーム全体の推進力を生んでいる。昨季も横浜FMで終盤戦の躍進に一役買っているだけに、熾烈な2位争いにおいては、心強い存在になりそうだ。
そして最後のひとりだが、セレッソ大阪の奥埜博亮、浦和のエヴェルトン、柏のオルンガなど、ほかにも挙げたい選手はいたが、サンフレッチェ広島の森島司を選んだ。独特のリズムと優れた技術で、広島の攻撃を引っ張っているのはもちろんだが、リスタート時の正確なキックで、ゴールやアシストを記録しているのが目を引いた。
中村俊輔(横浜FC)、遠藤保仁(磐田)のあと、Jリーグにはキックのスペシャリストがあまり出てきていないが、これから先が楽しみな選手である。
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