Jリーグで活きのいいドリブラーが日本サッカーの閉塞感を打ち破る!

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 しがないフリーのスポーツライターにとって、交通費がかさむ地方取材のハードルは決して低くない。今年はさらにコロナ禍における自粛意識も重なり、地方に足を運ぶことはまったくなくなった。ゆえに7月に再開された今季のJ1取材の行き先は、自ずと首都圏クラブのスタジアムに限られている。

キレのあるドリブルで存在感を示した汰木康也キレのあるドリブルで存在感を示した汰木康也 幸いなことに今季のJ1には、関東に本拠を置くクラブが8チームもあり(昨季は6チーム)、毎節複数の会場で試合は行なわれるから、赴く先の選択肢は豊富にある。アウェーにやって来た関東圏外のクラブの戦いも、昨季以上にカバーすることができている。

 しかし、巡り合わせの妙というべきか。ここまで唯一、直接目に触れられなかったクラブがある。セレッソ大阪だ。

 2年目のロティーナ監督のもとで躍進を遂げ、今季のJ1のメインキャストのひとつであるこのチームのことは、大いに興味を持っていた。だが、なぜか関東遠征にやって来たC大阪の試合のタイミングに、こちらの都合がうまくハマらなかったのだ。

 もちろん映像は見ていたし、ロティーナ監督が整備した守備組織の強固さも理解している。清武弘嗣が今年はケガなくハイパフォーマンスを続けていることもチェックしているし、西川潤という大物ルーキーの存在も認識している。

 モンテディオ山形から加入した坂元達裕のブレイクも知っているが、昨季はJ2にいたこの選手のプレーはまだ見たことがなかった。だから、未見のこのドリブラーのパフォーマンスを確認することが、埼玉スタジアムに赴いた最大の目的だった。

 調子を上げてきた浦和レッズに対し、坂元のプレーはどこまで通じるのか。もっともこの日の坂元は、そのポテンシャルを十分に発揮したとは言い難かった。

 立ちあがりこそキレのあるステップで逆を取り、相手に倒されてファウルをもらうシーンを連発。巧みな胸トラップでボールを浮かし、そのまま身体を反転させて相手を抜き去るなど、テクニックの高さも垣間見せていた。

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