オルンガとエムボマ、どっちがすごい?Jに衝撃を与えるアフリカン (4ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki

 それぞれのプレーした時代が異なることは承知のうえで、いくつかの視点から両者を比較してみたい。

 まず、単純なゴールの数では、オルンガが勝っている。最終的には今季が終わってみなければわからないが、よほどのことがない限り、エムボマの25ゴールは超えるはずだ。

 加えて、柏が決勝進出を決めているルヴァンカップで、チームにタイトルをもたらすことになれば(ケニア代表との兼ね合いで、決勝の出場は微妙とのことだが)、さらにオルンガの評価を高める材料になる。

 また、ふたりの武器である身体能力を比べても、パワーではエムボマが勝るものの、スピードではオルンガが上回る印象だ。オルンガがDFの背後へ抜け出し、易々とゴールを陥れるシーンが多いのは、その証明である。

 一方、Jリーグに与えたインパクトという点では、エムボマに分がある。

 ブラックアフリカン特有のパワーとしなやかさを兼ね備えたプレーは、当時の日本人(選手もファンも)にとってはまだまだ未知の世界。驚きとともに、とてつもなく大きなインパクトを残したという点において、歴代の全外国人選手のなかでも、指折りの存在だろう。

 そこにはエムボマが、前記したような奇想天外なゴールを次々に決めていたことも影響している。ゴールへ至るアイデアや、独特な得点感覚という点でも、エムボマは他が真似のできないものを持っていた。

 加えて、オルンガがサッカー強国とは言えないケニア代表であるのに対し、エムボマはアフリカ屈指の強豪、カメルーン代表であったこと。そして、来日翌年のワールドカップにも出場していたことなどを考えると、世界的な評価では、エムボマがオルンガに大きく水をあけている。

 いわば、名のエムボマと実のオルンガ。そんな色分けはできるのだろうが、現時点での名の差は非常に大きい。総合的に考えると、エムボマが上、ということになるだろう。

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