たった6試合で帰国したルイゾンの
言い分。「まっちゃん、元気かな」 (2ページ目)
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しかしチームの答えは『No』だった。おかげで俺と妻はずっと家にいて子供の世話をしなくちゃいけなかった。日本に滞在中、外に食事に行った回数は数えるほど。俺は練習場と家の往復だけで、こんなの人生じゃないと思ったね。かといって、小さな子供を見知らぬ人間に預けることはできない。本当に辛かった」
話をする彼の後ろでは賑やかな音楽が鳴っていた。そう、彼の人生は華やかなフェスタがなければ成り立たない。音楽に、酒に、友人との陽気なおしゃべり、それが彼のパワーの源だ。
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「おまけに俺は、約束された金額も受けとれなかった。チームのせいなのか、それとも間に入った誰かがだましたのかはわからないが、そんなこんなでチームに不信感を抱いてしまったんだ」
そんな時、彼にサントスからのオファーが来た。サントスはサンパウロが払わなかったグランパスへの違約金も肩代わりしてくれるという。
「俺は1分も考えず、即OKした。そして荷造りもそこそこに、ほとんどのものを残してブラジルに戻ってきてしまった」
ほんの少しの日本だったが、それ以外の思い出はすばらしいとルイゾンは言う。
「特にサポーターは本当にすばらしかった。名古屋の人は俺を愛してくれて、スタジアムはいつも満杯だったし、ほぼ毎日誰かからプレゼントをもらっていた。あんな去り方をしてしまったのに、空港まで見送りに来てくれたサポーターもいて、涙が出そうになった。だからぜひここで伝えておきたい。日本は大好きだ。日本人は大好きだ。グランパスのサポーターありがとう」
チームメイトやスタッフとの関係も良好だったようだ。
「そういえばこんなことがあった。ある時、俺は胃が痛くなって、コンビニに薬を買いに行った。しかし売っているものが何なのかさっぱりわからない。そこで目に留まったのが『タフマン』だった。一時期ペレがCMをしていたんで、唯一見覚えのあるものだった。しかしそれを持って練習に行ったら、なぜかチームメイトにめちゃくちゃ笑われた。胃の薬じゃなくて、エナジードリンクだってわかってからは、俺も一緒に大爆笑したよ」
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