再開後に評価が急上昇した浦和レッズ。それが正しいことを証明した一戦 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • ヤナガワゴー!●撮影 photo by Yanagawa Go

 観客数を5000人までに制限している現在のスタジアムでは、ピッチ上の選手の声がよく響く。同じくオーバー30のキャプテン、GK西川周作が仲間を鼓舞する大きな声に、90分を通して槙野や鈴木のそれが続いた。彼らを中心に泥臭くボールに向かって体を投げ出した浦和は、自陣に築いた堅牢な壁を破られることがなかった。

 槙野は「今年33歳だが、まだベテランと呼ばれる歳じゃないと思っている」とささやかな抵抗を見せつつ、こう話す。

「ベテランの意地というか、経験の差が出たプレーだったし、内容だった」

 彼らは、浦和が持つ底力、いわば、現在の強さの裏づけとなっているものをピッチ上で示したと言えるだろう。

 再開後のJ1で、浦和が評価を高めている根拠のひとつは、充実した戦力にある。

 昨季は14位に低迷したとはいえ、一昨季の天皇杯優勝、昨季のACL準優勝が示すように、そもそものポテンシャルは高い。選手個々の顔ぶれを見れば、日本人選手には代表経験者がズラリと並び、外国人選手にも多彩な実力者がそろう。

 実際、横浜FC戦での決勝ゴールも、鮮やかな展開から生まれている。

 中盤での細かいパス交換で横浜FCの中盤を食いつかせると、中盤とDFラインの間に空いたスペースへ縦パスを入れる。パスを受けたMF関根貴大はドリブルで前進しながら、DFラインの背後へスルーパス。これをタイミングよく抜け出したFWレオナルドが、難なくゴールへ流し込んだ。

「相手の2トップに動き出しのいい選手(FW興梠慎三、FWレオナルド)がいたので、それで少し怖がって(DFラインが)下げさせられた」

 横浜FCのボランチ、MF佐藤謙介がそう振り返ったように、百戦錬磨の2トップが目に見えない圧力をかけ続けた中で生まれた、必然の決勝点だった。

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